研究課題/領域番号 |
19K05134
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
日下 靖之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (00738057)
|
研究分担者 |
石神 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (70595850)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 印刷エレクトロニクス / 酸化物前駆体 / ナノ粒子 / 破壊 |
研究実績の概要 |
本年度は低分子インクの半固体膜物性について評価をすすめるとともにナノ粒子系インクの応用展開の検討を行った。低分子インクについては、反転オフセット印刷でのパターニングに成功している硝酸インジウム/2-メトキシエタノール溶液を対象に、XAFSによるインク作成手順の影響、およびXRDによる半乾燥膜の結晶性評価を行った。その結果、XAFSよりIn-O結合距離は溶液調整時の加温処理(75度)の前後で影響を受けないこと、XRDより半乾燥膜では少量の水酸化インジウムが生成されるものの全体としてアモルファス状態を維持していることが明らかになった。他の溶媒系についての検討も行い、低分子インクの主溶媒・副溶媒組成と塗布膜内に生じる結晶成長の有無について評価を進めた。 ナノ粒子系インクについては、主溶媒と遅延溶媒の相互作用によって、遅延溶媒の蒸発およびシリコーンゴムへの吸収特性が変化する可能性についてTG/MSを用いた検証を行った。その結果、π/OH相互作用が想定されるメシチレン-ヘキサノール混合溶媒の混合比とPDMS吸収量比が異なり、ヘキサノールの吸収が促進されることが確認できた。この結果はより精緻なインク設計に役立てることができるものである。以上の成果を踏まえ、イオン液体等の電解質材料であっても乾燥性を制御するための遅延溶媒として機能する可能性があることから、シリカナノ粒子/イオン液体系の半固体電解質膜用インクを試作し、実際にマイクロスーパーキャパシタを動作させることに成功した。関連して、印刷精度の検証プログラムの開発も行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
低分子インクの反転オフセット印刷パターニングのモデル化を行う上で、低分子インクの半固体膜物性を実験的に把握する必要があるものの、溶媒和など溶媒-前駆体間相互作用に関する特徴的な情報が実験的に得られていないためモデルの有効性検証が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
低分子系材料の半乾燥塗膜の物性評価手法について引き続き検討を進める。ナノ粒子系については印刷プロセス中の膜破壊現象で生じる塑性変形について更なる実験的解析を行い、モデルの精緻化を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため実験計画に変更が生じたため。薄膜破壊検証のためのインク試作等に用いる。
|