研究課題/領域番号 |
19K05135
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
竹林 良浩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (70357416)
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研究分担者 |
三浦 俊明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20358071)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医薬品 / 溶解度 / 結晶多形 / 結晶構造 / 晶析 / フロープロセス / 微粒子 / 計算化学 |
研究実績の概要 |
本研究では、医薬品粒子の形状や結晶構造(多形)を制御しつつ連続的に製造するための、実験的・理論的基盤の確立を目的とする。実験的には、晶析の最初期状態であるナノ粒子に注目し、貧溶媒の混合過程をマイクロミキサを用いたフロー装置で精密制御することにより、溶媒の種類や混合比などのプロセス条件と粒子物性の関係を再現性良く明らかにする。計算化学的には、結晶構造と分子間相互作用に基づいて、結晶の構成エネルギーや溶解度を計算することにより、粒子成長の異方性や結晶多形の選択性を定量的に機構解明する手法の開発を目指す。両者を比較検証しつつ、求める粒子物性を得るための晶析場制御ツールを構築することを目的とした。 実験的にはまず、晶析条件の設定に不可欠である溶解度データを、医薬品ファモチジンの多形2種とスルファチアゾールの多形3種に対して実測した。得られた各多形の溶解度および多形間の溶解度の比に対して溶媒の種類が与える影響を調べるとともに、相転移時の物理量から熱力学的関係式を用いて予測される結果と比較した(学会発表4件、論文発表1報)。さらに、医薬品溶液と貧溶媒を送液する各ポンプの混合流量比を自動スケジュール制御可能なフロー晶析装置を作成し、ファモチジンの連続晶析を試みた。最終年度には、良溶媒および貧溶媒の種類を変えて実験をおこない、析出する微粒子の多形選択性に与える影響を明らかにした。 一方、計算化学的には、周期境界条件を施した量子化学計算に基づいて、スルファチアゾールの各結晶多形の最適化構造および構成エネルギーを計算し、実験結果と整合する結果が得られることを示した(学会発表1件)。また、分子動力学シミュレーションと熱力学的積分法を組み合わせた溶媒和自由エネルギーの計算を実施した。得られた溶媒和自由エネルギーの溶媒依存性は、溶解度の実測データと定性的に一致することが確認できた。
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