研究課題/領域番号 |
19K05143
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
小廣 和哉 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (60170370)
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研究分担者 |
大谷 政孝 高知工科大学, 環境理工学群, 准教授 (20585004)
Kan Kai 高知工科大学, 環境理工学群, 助教(PD) (80756263) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 複合金属酸化物 / 多孔体 / 触媒担体 |
研究実績の概要 |
複合化が困難とされている結晶系の異なる複数の金属酸化物を、5nm以下のナノ粒子レベルで均一混合した複合酸化物多孔体の単工程合成法の開発を目的に、有機溶媒を反応媒体とする複合酸化物ナノ粒子多孔体のソルボサーマル単工程一段階合成の反応条件を精査した。TiO2アナターゼ結晶格子中にTiよりも原子価の一つ大きい5族元素を導入すれば、結晶格子中に酸素欠損が生じる。この5族元素ドープTiO2を触媒担体とする目的で、V2O5-TiO2、Nb2O5-TiO2、およびTa2O5-TiO2複合球状多孔体の一段階ソルボサーマル合成を完成した。 同様の手法をZrO2系に展開した。新規開発したソルボサーマル反応により得られたSiO2-ZrO2球状多孔体担持Ni触媒が、メタンドライリフォーミング反応(CH4 + CO2 → 2CO + 2H2)に対し優れた炭素析出抑制能を示すことを2019年度に予備的に見出している。2020年度には、触媒能の向上を目的に、SiO2-ZrO2球状多孔体担持Ni触媒の粒径を100~200 nm 程度に縮小することに成功した。また、CO2吸着能の向上を目的に塩基性のMgOを含むMgO-ZrO2複合球状多孔体担持Ni触媒、耐熱性向上を目的にY2O3-ZrO2複合球状多孔体担持Ni触媒も合成した。これらを触媒とするメタンドライリフォーミング反応において、粒径の小さいSiO2-ZrO2球状多孔体担持Ni触媒と粒径の小さいY2O3-ZrO2複合球状多孔体担持Ni触媒が共に優れた触媒であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたナノレベル均一混合複合金属酸化物多孔体担持Ni触媒の単工程ソルボサーマル合成法に関して、粒径の小さい以下の三つの触媒、SiO2-ZrO2球状多孔体担持Ni触媒、MgO-ZrO2複合球状多孔体担持Ni触媒、Y2O3-ZrO2複合球状多孔体担持Ni触媒を合成した。これらの触媒のうち、SiO2-ZrO2球状多孔体担持Ni触媒とY2O3-ZrO2複合球状多孔体担持Ni触媒がメタンドライリフォーミング反応に対し高い触媒能と長時間耐性を有することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた知見をもとに、新たな複合酸化物系としてCeO2を選び、これらを触媒担体とすることで、高活性・高耐久性のメタン酸化反応(CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O)触媒を創出する。具体的には、SiO2-CeO2多孔体担持Pd触媒、Al2O3-CeO2多孔体担持Pd触媒、Y2O3-CeO2多孔体担持Pd触媒、ZrO2-CeO2多孔体担持Pd触媒等の一段階ソルボサーマル合成法を確立する。これらをメタン酸化反応の触媒に用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、学生の実験日数も少なくまた会議や打ち合わせ等もウェブ上で行われるようになり、消耗品購入および旅費支出が予想以上に少なかったため。今年度は、研究に必要な試薬、ガラス器具、プラスチック器具、ガスなどの消耗品を購入する。
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