①過熱水蒸気を用いたスプレー式混合システムによるニッケルナノ粒子の連続合成、②スプレー式混合システムにおける噴霧特性の検討、③噴霧特性を評価するVillermaux-ushman反応の速度論的検討を行った。 ①過熱水蒸気を用いたスプレー式混合システムによる金属ニッケルナノ粒子の連続合成においては、エチレングリコールを溶媒とした塩化ニッケルのヒドラジン還元法によるニッケルナノ粒子の合成を対象とした。実験条件としては過熱水蒸気供給温度、金属前駆体と還元剤の濃度比や噴霧した液滴径が生成物の種類や、形態に及ぼす影響について検討した。過熱水蒸気を用いて得られた生成物は、今回の実験条件範囲内ではすべて100~300nm 程度の金属ニッケル粒子であった。金属ニッケル濃度に対して還元剤濃度の比を増加させるとニッケル粒子径が減少した。この際、個数濃度が増加していることから核生成プロセスが主反応となるため核成長プロセスが抑制されたためと考えられた。過熱水蒸気温度が上昇に関しても同様に粒子径の減少と個数濃度の増加が観察された。また、過熱水蒸気温度の上昇に伴い金属ニッケル粒子の回収率が減少した。温度上昇に伴い水蒸気圧力が増加し、噴霧液滴径が小さくなるためミストとして反応器外に排出される割合が増えるためと考えられた。 ②Villermaux-Dushman反応によるスプレー式混合システムの混合特性を評価は常温で噴霧用の流体としては空気を用い、孔径の違う三種類のノズルを用いて混合特性を評価した。混合状態は流量や噴霧圧(空気供給流量)で変化がするが、噴霧液滴径で整理ができることを明らかとした。 ③反応速度に及ぼす化学種種類の影響について検討を行い、塩酸を用いると過塩素酸を用いた場合に対して反応速度が大きくなることから塩化物イオンが存在する場合Dushman反応に対して触媒効果があることを明らかにした。
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