本研究では金属シアノ錯体の熱分解法を利用した,①Aサイトへのアルカリ土類金属イオンを添加したペロブスカイト型酸化物触媒の調製法の確立,②金属を高分散担持したペロブスカイト型酸化物の調製法の確立,③そのPM酸化触媒特性について調査することを目的としている. 今年度は項目③を重点的に検討した.(LaO1.5)1-x(CaO)x(FeO1.5)では,x≦0.53でペロブスカイト型酸化物が生成し,x≧0.53でブラウンミレライト型酸化物との共晶となることが明らかとなった.PM酸化触媒特性(カーボン燃焼特性)の結果から,x≦0.21ではCa添加量の増加に伴って,カーボン燃焼(CO2生成)が低温側にシフトする(活性が向上する)ことが確認された.一方,0.35≦x≦1.0では,Ca添加量に伴って,カーボン燃焼が高温側にシフトした.この領域では燃焼によるCO2ピークに加えて,より高温に酸素を消費しないCO2ピークが確認された.このピークはCaOがCO2をトラップして生成したCaCO3の分解によるものであり,金属炭酸塩の生成が触媒活性を低下させた原因であると推定した. これまでの検討では,La1-xCax(NH4)x[Fe(CN)6]・nH2O (A = アルカリ土類金属イオン)を前駆体として使用していたが,La1-xCaxKx[Fe(CN)6]・nH2OのようなKイオンを含んだ前駆体からの酸化物生成を試みた.焼成後の(LaO1.5)0.56(CaO)0.44(KO0.5)0.44(FeO1.5)はペロブスカイト型酸化物とブラウンミレライト型酸化物の共晶であった.本試料はKイオンを含まない酸化物で最も活性が高かった(LaO1.5)0.79(CaO)0.21(FeO1.5)よりカーボン燃焼が100℃以上低温化(活性向上)することが明らかとなった.
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