研究課題
金属-有機構造体(MOF)から得た窒素ドープ炭素の酸素還元触媒としての特性を評価した。比較対象である従来の含浸法で調製した触媒と比較して、酸素還元の開始電位と拡散限界電流に到達する電位が高いことがわかった。また、塩基性溶液中では炭素担持Pt触媒と同程度の酸素還元活性が示された。鉄源と窒素源(フェナントロリン)を炭素粉末に含浸した原料を焼成すると低温域で窒素源の大部分が揮発するのに対し、MOF原料では500℃付近まで揮発・分解せず、生成した窒素ドープ炭素中の塩基量、即ち窒素導入量は含浸法で得た試料の2~3倍に達することを明らかにした。MOFの一種であるZIF-8に金属源や窒素源を加えて焼成することで組成の最適化を行った。さらに、ZIF-8の調製条件と触媒活性との関係を調査した。硝酸亜鉛と2-メチルイミダゾールの粉末(結晶)を混合してからメタノール溶媒に溶かす方が、各原料を溶媒に溶かしてから混合するよりもZIF-8の結晶が細かく、酸素還元活性が高いものが得られている。後者の方が塩基量が多いことから窒素含有量以外の物性の寄与もあると言える。MOFから得られた窒素ドープ炭素を担体としてこれにPt粒子を担持したときのPtの物性と触媒特性への影響を調べた。一酸化炭素の酸化挙動や酸素還元活性は炭素に窒素を導入しても変化が小さくPtの電子状態への寄与が小さいことが示唆された。一方、炭素存在下で液相法でPt粒子を調製する場合とPtコロイドを調製してから炭素に吸着させる方法では、一酸化炭素の酸化挙動が著しく異なり、炭素とPtの接触状態が電子状態に寄与することがわかった。
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Journal of Electroanalytical Chemistry
巻: 897 ページ: 115596~115596
10.1016/j.jelechem.2021.115596