研究課題
乾燥や塩ストレスなどに伴うタンパク質の凝集を抑制する作用を持つことが知られているLEAタンパク質の配列をベースにLEAペプチドを設計し、それを大腸菌内で目的タンパク質と共発現させると目的タンパク質の発現量が倍増することを発見し報告してきた。これまでの知見からLEAペプチドの機能について、タンパク質同士の凝集を抑制する「分子シールド機能」、タンパク質のフォールディングを促進する「分子シャペロン様機能」の仮説を立てている。本研究では、無細胞タンパク質発現系および合成ペプチドを利用し、試験管内での現象・相互作用の解明を突破口として細胞内におけるLEAペプチドの機能解明を行った。合成LEAペプチドを用いて分子シールド機能の解明を行った。検証の結果、LEAペプチドは熱や塩によるタンパク質の凝集を抑止する機能は確認されなかった。細胞内においてLEAペプチドは分子シールド機能を有していない可能性がある。そこで、無細胞タンパク質合成系を利用してLEAペプチドによる目的タンパク質(GFP)の発現量増大を検討した。GFPの単独発現と比較して、GFPとLEAペプチドを共発現させるとGFP発現量が2.5倍増加した。また、GFPの単独発現サンプルに合成LEAペプチドを添加させた場合、分子クラウディング条件下においてLEAペプチドの添加量の増加に伴いGFP発現量が有意に増大した。この結果から、細胞内で分子シャペロン様機能を有している可能性が高いと考察した。大腸菌内におけるGFPとLEAペプチドの発現タイミングを制御することでLEAペプチドの分子シャペロン様機能を検証した。その結果、LEAペプチド発現をGFP発現後に行ったサンプルは、GFP発現量の増加は見られなかった。一方、LEAペプチド発現をGFP発現よりも先に行うことでGFPの発現が大幅に増大した。この結果はLEAペプチドが分子シャペロン様の機能を有している可能性が高いことを示唆している。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Journal of Microbiological Methods
巻: 188 ページ: 106207~106207
10.1016/j.mimet.2021.106207
Biomolecules
巻: 11 ページ: 1285~1285
10.3390/biom11091285
細胞
巻: 53 ページ: 50~52