第三年度は、酵素燃料電池およびバイオセンサのプロトタイプの開発を行う。第一および第二年度で開発した技術を融合した酵素燃料電池およびバイオセンサのプロトタイプを開発した。 酵素燃料電池は、金電極上にCNT液を滴下し、自然乾燥させた。酵素を電極に滴下し、自然乾燥させた。本実験で使用した好熱菌由来酵素は、Pichia pastorisにより発現したTalaromyces emersonii GDHである。最後にナフィオン溶液を滴下して乾燥させた。作製した電極は、アノードとして利用し、カソードにラッカーゼを使用した燃料電池を作製した。電流密度と電圧、電力密度と電流の関係を計測した。これより、酵素燃料電池として動作していることがわかる。最大起電力は、0.6 V、最大電流密度は、0.8 mA/cm2、最大電力は、0.09 mW/cm2が得られた。また、50度で動作することも確認した。当初の目標水準に到達することはできなかったが、これは、過電圧を解消することが完全にできなかっためである。 バイオセンサのプロトタイプを作製した。作製した閉鎖系ストリップは、1シート上に60個ある。これをはさみで切り、電極に装着して使用する。側面から測定液を毛細管現象を利用して挿入する。挿入後電圧をかけて測定する。電位+0.6 Vのクロノアンペロメトリー測定でグルコース濃度の直線範囲は50-600 mg/dLであった。使用したセンサは、グルコースのみに反応し類似の糖であるマルトース、ガラクトース、キシロース、には応答しなかった。血清を用いた測定では、市販の血糖値センサと同等の値を示した。
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