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2020 年度 実施状況報告書

昆虫抽出液を用いた高効率完全無細胞タンパク質合成系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K05176
研究機関沖縄工業高等専門学校

研究代表者

伊東 昌章  沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 教授 (00395659)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード無細胞タンパク質合成系 / カイコ / 翻訳促進配列
研究実績の概要

本研究では、合成効率および利便性の向上を図ることで昆虫無細胞タンパク質合成系を「創薬研究・ポストゲノム研究に使われる技術」にすることを最終目的とした。具体的には、以下の研究を進める。1. RNA二次構造予測と翻訳促進配列のスクリーニング・変異解析を通して、新たな翻訳促進配列を創造し、反応条件等を最適化することで、現状の8倍以上の合成量とする。2.創造した翻訳促進配列、最適な反応条件等をもとに、PCRのみで鋳型DNAを調製する プライマーを設計・利用し、鋳型DNA調製からタンパク質合成まですべての実験工程が遺伝子組換え実験に該当しない系を構築する。上記を達成し、「昆虫抽出液を用いた高効率完全無細胞タンパク質合成系を構築」することを目的としている。その中で、昨年度は、翻訳促進配列を検討し、カイコ無細胞タンパク質合成系における実験操作の効率化に成功し、完全無細胞タンパク質合成系を構築することができた。
そこで、今年度は、まず、合成量向上に向けて、カイコ幼虫後部絹糸腺由来抽出液調製条件の検討を行った。その結果、一般品種の5齢5日のカイコの後部絹糸腺を摘出し、ダウンスホモジナイザーを用いて破砕・抽出方法の検討を行い、また、抽出用緩衝液量を最適化することで、β-ガラクトシダーゼの合成を指標とした場合で、100μg/ml以上の合成能を有する抽出液の調製方法を確立した。また、その抽出液を用いたRNA精製の手間を省くLink法の最適キレート剤濃度を検討した。その結果、EDTA 0.5 mMにおいて最も合成量が高いことが明らかとなった(昨年度の条件である0.75mMから変更)。以上を行うことで、カイコ無細胞タンパク質合成系における合成量の向上に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は、翻訳促進配列の最適化や実験系の効率化検討を行い、また、設計したプライマーによって得られたDNAを鋳型としたmRNAから目的タンパク質が合成され、従来行っていた大腸菌遺伝子組換え法による鋳型DNA作製操作を省くことに成功し、完全無細胞タンパク質合成系を構築することができた。
今年度は、まず、合成量向上に向けて、カイコ幼虫後部絹糸腺由来抽出液調製条件の検討を行った。また、その抽出液を用いたRNA精製の手間を省くLink法の最適キレート剤濃度を検討した。それぞれを最適化することにより、β-ガラクトシダーゼの合成を指標とした場合で、100μg/ml以上の合成量を達成することができた。以上を行うことで、カイコ無細胞タンパク質合成系における合成量の向上に成功した。
これらのことから、完全無細胞タンパク質合成系を構築することができ、合成量向上も達成できたことから研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

次年度は3年間の最終年度となるため、当初の目標である合成効率および利便性の向上を図ることで昆虫無細胞タンパク質合成系を「創薬研究・ポストゲノム研究に使われる技術」にすることを目指して、これまでの成果をもとにさらに検討が必要な項目を選択し研究を推進する。具体的には、一昨年度で達成した完全無細胞タンパク質合成系の技術と、昨年度取り組み合成量向上に成功した技術を組み合わせ、さらに、新たな翻訳促進配列を創造し、反応条件等を最適化することで、現状の8倍以上の合成量とする。また、創造した翻訳促進配列、最適な反応条件等をもとに、PCRのみで鋳型DNAを調製する プライマーを設計・利用し、鋳型DNA調製からタンパク質合成まですべての実験工程が遺伝子組換え実験に該当しない系を構築する。上記を達成し、さらに使いやすい昆虫抽出液を用いた高効率完全無細胞タンパク質合成系を構築する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Development and implementation of silkworm cell-free protein synthesis systems2021

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Ito
    • 雑誌名

      J. Biol. Macromol.

      巻: 21 ページ: 3-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シマグワ葉パウダーを配合したパンの血糖値上昇抑制効果2021

    • 著者名/発表者名
      久米大祐, 喬穎, 中山珠里, 保川清, 島尻佳典, 伊東昌章
    • 雑誌名

      日本栄養・食糧学会誌

      巻: 74 ページ: 15-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] カイコ無細胞タンパク質合成系の開発と実用化2020

    • 著者名/発表者名
      伊東昌章
    • 雑誌名

      蚕糸・昆虫バイオテック

      巻: 89 ページ: 51-57

  • [雑誌論文] Kinetic analysis of inhibition of α-glucosidase by leaf powder from Morus australis and its component iminosugars2020

    • 著者名/発表者名
      Qiao Ying、Nakayama Juri、Ikeuchi Takeaki、Ito Masaaki、Kimura Toshiyuki、Kojima Kenji、Takita Teisuke、Yasukawa Kiyoshi
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 84 ページ: 2149~2156

    • DOI

      10.1080/09168451.2020.1783991

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 沖縄での新たな養蚕業への挑戦 -カイコを活用するベンチャーの起業ー2020

    • 著者名/発表者名
      伊東昌章
    • 雑誌名

      日本シルク学会誌

      巻: 74 ページ: 7-14

  • [学会発表] シマグワ茶に含まれるα-グルコシダーゼ阻害成分の解析2020

    • 著者名/発表者名
      喬 穎、中山珠里、伊東昌章、木村俊之、兒島憲二、滝田禎亮、保川清
    • 学会等名
      日本農芸化学会関西支部第512回講演会

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公開日: 2021-12-27  

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