• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

パネル状多環芳香族を骨格とする三脚型ホスホン酸系表面処理剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05194
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

平 敏彰  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (40711974)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードホスホン酸 / 両親媒性 / 自己組織化 / 表面処理
研究実績の概要

本研究では、多数の芳香環等をパネル状に張り合わせて親水・疎水バランスを最適化した両親媒性の多脚型ホスホン酸を設計・合成し、各種金属酸化物の表面と多点で結合した強固かつ緻密な保護膜の構築を目的とする。
本年度は、昨年度までに合成した各種ホスホン酸系表面処理剤について、分子構造と各種物性の相関を明らかにした。すなわち、一脚および二脚型のホスホン酸系表面処理剤の親水・疎水バランスを評価するために、気水界面における吸着挙動をWilhelmy法により解析した。その結果、一脚型のホスホン酸系表面処理剤は、水に良好に分散するとともに、優れた表面張力低下能を発揮することが明らかとなった。また、一脚型のホスホン酸系表面処理剤は、気水界面において分子同士が比較的密にパッキングしてレイヤー構造を形成しやすいことが分かった。二脚型のホスホン酸系表面処理剤は、一脚型に比べて疎水性が向上するとともに、気水界面における分子占有面積が増大した。これらの比較から、二脚型ホスホン酸系表面処理剤は、気水界面において多点で相互作用して界面を被覆する特異な吸着挙動を示すことが明らかとなった。
これらの知見を踏まえ、モデル金属酸化物としてシリカやSUSを用い、その表面上でのホスホン酸系表面処理剤の保護膜の作成を検討した。その結果、ホスホン酸系表面処理剤の水溶液に金属酸化物を浸漬させたところ、浸漬後の金属酸化物の表面において、ホスホン酸系表面処理剤の保護膜が自発的に形成することを原子間力顕微鏡観察により明らかにした。金属酸化物表面の凹凸の解析から、分子積層膜と思われるレイヤー構造の形成も確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画通り、初年度に合成した各種ホスホン酸系表面処理剤の表面吸着挙動を評価するとともに、モデル金属酸化物の表面において、ホスホン酸系表面処理剤の保護膜が自発的に形成されることも明らかにした。計画段階では、金属酸化物の種類によって保護膜の形成がどのように変化するかも明らかにする予定であったが、一方で、次年度に予定していた分子構造と表面吸着挙動の構造-機能相関の検証まで研究が進んでおり、概ね当初の計画通りに研究が進展している。

今後の研究の推進方策

今後は、ホスホン酸系表面処理剤の分子構造と表面吸着挙動の構造-機能相関の結果を踏まえて、各種金属酸化物の表面に形成した積層膜の安定性を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

消耗品総額に対して1割未満の端数が発生したため、次年度での溶剤等の消耗品代として予算を計上する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of a Bolaamphiphilic Alkenyl Phosphonic Acid by Ru-catalyzed Olefin Cross Metathesis Reaction2020

    • 著者名/発表者名
      Toshiaki Taira, Yuki Ishizaki, Kenichi Sakai, Hideki Sakai, Tomohiro Imura
    • 雑誌名

      Journal of Oleo Science

      巻: 69 ページ: 1437-1443

    • DOI

      10.5650/jos.ess20106

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi