クライオ電顕の登場で、今まで他の手法で不可能であった非結晶性ナノファイバーの原子レベルでの構造解析が可能となった。申請者の独自技術によって創製してきた人工設計ペプチドナノチューブにこの構造解析法を初めて適用し、得られた構造に基いて新たな精密設計を行うことで、超耐熱性という形質を付与することを目指した。この結果、ペプチドの構造としては、らせん状のαヘリックスを基本とし、自己集合によって会合したナノファイバー構造となることで、転移温度が測定不能となる130℃を超えるものの創製に成功した。また、この集合体が、中温域で協同的に液晶様の構造転移を起こすという新たな現象を見出した。
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