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2019 年度 実施状況報告書

相分離界面に感温性ブロックを導入したゲート機能付ナノシリンダーチャネル膜の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05212
研究機関高知大学

研究代表者

波多野 慎悟  高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 講師 (70397157)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード両親媒性ブロックポリマー / ミクロ相分離 / 液晶 / 感温性ポリマー / 透過膜 / ナノチャネル / ゲート機能
研究実績の概要

親水性ポリマーとしてポリエチレンオキシド(PEO)、ゲート機能感温性ポリマーとしてポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、疎水性側鎖液晶型ポリマーとして側鎖にスチルベン骨格を有するポリメタクリレート(PMA(stb))といった3種の高分子ユニットから成る両親媒性トリブロックターポリマー(ATBP)を合成した。
目的とするATBPは、PEO末端を修飾して開始点とし、原子移動ラジカル重合法を用いてPNIPAMの重合、続けてPMA(stb)の重合を行って合成した。スピンコートによって作製したATBP薄膜を180℃で3.5時間アニーリングして透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡を用いてミクロ相分離構造の観察を行った結果、PMA(stb)側鎖の液晶部位の配向によってPEOとPNIPAMから成る親水性ドメインが膜面内を貫通する形でシリンダー構造を形成しており、目的とするナノチャネルができていることが確認された。また、熱アニーリングによる構造誘起後の膜に波長302nmの紫外光を照射することでスチルベン部位間での光感化反応による架橋反応を促し、厚さ100nm程度のATBP薄膜の自立膜化に成功した。
得られた自立膜を用いてローダミン6Gの透過実験を行った結果、熱アニーリングの有無によりローダミン6Gの透過性に明確な差が現れた。また、25℃のときより40℃で透過実験を行う方がローダミン6Gの透過速度が速く、PNIPAM部位の体積変化によるゲート機能が働いている可能性が示唆された。
また、別の感温性ポリマーとして、側鎖にジエチレングリコールモノエチルエーテル基を有するポリメタクリレート(PDEGMA)を用いたATBPの合成も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた両親媒性トリブロックターポリマーの合成は順調にできており、構造解析の結果からも想定していたミクロ相分離構造が得られている。透過実験におけるゲート機能の効果については、感温性ポリマー部位を持たないPEO-b-PMA(stb)膜における25℃と40℃の透過性能との比較などを行わないと明らかにできない部分はあるが、現時点では概ね期待通りの結果が得られている。
また、新たな感温性ポリマーを用いたトリブロックターポリマーの合成も進んでいることから、現在までの進捗としては順調であると考えている。

今後の研究の推進方策

感温性ポリマーを含有しないPEO-b-PMA(stb)膜での透過実験を行い、25℃と40℃での透過量の比を透過促進率として算出し、ゲート機能の評価を行う。
新たな感温性ポリマーを用いたトリブロックターポリマーについてもこれまで同様に薄膜でのミクロ相分離構造観察、自立膜化を経て透過実験に進んでいく。
また、金属イオンを用いた透過実験や、色素で末端修飾した様々な分子量のPEOを用いた透過実験などを行い、ナノチャネルの大きさと透過できる分子サイズの相関を明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

試薬などは十分に購入できていたがわずかにあまり、また学会が比較的近い場所であったため旅費がかなり余った。次年度以降学会がどのようになるか不透明な部分はあるが、余っている分は試薬購入費と学会旅費として同様に使用していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 相分離界面に温度応答性ブロックを組み込んだ側鎖液晶型両親媒性トリブロックターポリマーの合成と薄膜作製2019

    • 著者名/発表者名
      花岡大志、仁子陽輔、渡辺茂、波多野慎悟
    • 学会等名
      高知化学シンポジウム2019
  • [学会発表] 温度応答性ナノシリンダーチャネルを有する両親媒性トリブロックターポリマーミクロ相分離膜の作製2019

    • 著者名/発表者名
      花岡大志、仁子陽輔、渡辺茂、波多野慎悟
    • 学会等名
      第34回中国四国地区高分子若手研究会

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公開日: 2021-01-27  

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