研究課題/領域番号 |
19K05213
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮脇 仁 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (40505434)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 細孔形状 / 多孔体 / 129Xe-NMR / ナノ細孔 / 不規則複雑系 |
研究実績の概要 |
Xeを分子プローブとした129Xe-NMR法による不規則複雑系多孔体の細孔形状評価法の確立のため、初年度に実行するTask 1として掲げていたモデル多孔体を用いた検討を行った。細孔発達度が異なる多様な炭素系多孔体(活性炭)や市販のカーボンナノチューブ、シリカ系多孔体を用いて、細孔サイズと吸着Xe原子の129Xe-NMR化学シフトの相関を評価した。その結果、スリット型細孔と円筒型細孔では異なる細孔サイズ-NMR化学シフト相関を示すことが確認された。 加えて、Xe吸着量(表面被覆率)による129Xe-NMR化学シフトの変化を、第2年度にTask 2として予定していた低温129Xe-NMR法を用いて検討した。その結果、異なる細孔発達法(賦活法)で調製した活性炭に導入された細孔の種類数が異なっていることが明らかになった。具体的には、水酸化カリウムを賦活剤とした化学賦活活性炭においては1種類の細孔が発達するのに対し、水蒸気を賦活剤として用いた場合は2種類の細孔が発達することが明らかとなった。さらに、この水蒸気賦活法(物理賦活法)による2種類の細孔発達は原料の種類やバルク形状に依らないことを確認した。なお、この違いは常温129Xe-NMR測定のみでは確認できず、低温129Xe-NMR法により初めて明らかになったものである。 これらの知見は、第2年度に実施する混合モデル多孔体を用いた検討や分子マスキングの併用などにより得られる不規則複雑系多孔体における細孔形状評価法の確立の足掛かりとして重要なものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Task 1にて、当初予定していたサンプルの一部については未検討であり、モデル多孔体についてより評価数を増やす必要がある点は、マイナスである。 一方で、第2年度にTask 2として実施予定であった低温129Xe-NMR測定を前倒しで始めており、測定手順の習熟が進んでいることとともに、Xe吸着量による129Xe-NMRスペクトルの変化についての知見を得ていることから、全体的にみて、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
Task 1において不十分と考えるモデル多孔体の評価数を増大するとともに、すでに開始しているTask 2の低温129Xe-NMR測定を進め、また分子マスキング法の併用や混合モデル多孔体を用いた検討を進めることで、不規則複雑系多孔体における細孔形状評価法の確立を着実に進める。
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