研究実績の概要 |
チタン酸ナノシート(TNS)を液相合成し,希釈によりTNSの濃度(チタン原子濃度([Ti])で表す)が異なる分散液を調製した。様々な濃度に調整したTNS分散液,様々な質量の酸化金または酸化銀を懸濁し,紫外線を照射することで,局在プラズモン共鳴(LSPR)を示す金担持,銀担持TNS分散液を作製した。 酸化金を2.5 mgを懸濁し,[Ti] = 0.005, 0.01, 0.025, 0.05 mol/LのTNS分散液を用いて金担持を行ったところ,[Ti] = 0.005~0.025 mol/Lで赤紫に呈色し,ナノサイズの金粒子に帰属されるLSPRを示していた。[Ti] = 0.01 mol/Lで吸収が強くなり,[Ti] = 0.025 mol/Lでは吸収は弱くなった。また,5.0 × 10-2 mol/Lは無色透明であった。この結果を受け,[Ti] = 0.01 mol/LのTNS分散液に対して,酸化金を1.0, 1.4, 2.1. 2.6, 3.1, 3.4 mg懸濁して金担持を行ったところ,いずれもLSPRを示し,2.6 mgで吸収が強くなった。 金担持の結果受け,[Ti] = 0.01 mol/LのTNS分散液に対して,酸化銀を0.5, 1.1, 1.4, 1.8, 2.2, 2.5, 2.7, 3.2 mg懸濁して銀担持を行ったところ,0.5, 1.1, 1.4 mgでは分散液は無色透明であり,1.8, 2.2, 2.5, 2.7 mgは黄に呈色し,ナノサイズの銀粒子に銀粒子に帰属されるLSPRを示していた。3.2 mgでは分散液は黒色でありLSPRは見られなかった。 透過型電子顕微鏡で金担持TNS,銀担持TNSのナノ構造を確認したところ,液相合成TNSに特有のひし形の角に10 nmにも満たない粒子が確認できた。
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