本研究では、2つの電極が数nmで向かい合ったいわゆるナノギャップ電極について、電極金属の結晶構造の改善について探求をおこなっている。②「トンネル電流制御による結晶改善の検証」及び、研究項目③「単結晶ナノ電極の基板面方位依存性の検証」について進展があった。 ②については、前年度、ナノギャップ中に有機分子単体の架橋状態をエレクトロマイグレーションを介して実現できることが分かった。この時有機分子のサイズは極めて小さい為、当初予定していた手法とは異なっているが、本研究における最終目標である点で向かい合ったナノギャップの形成に大いに近づいた結果であり、今年度ではさらに、電圧の制御によって架橋/非架橋状態が連続して制御できることを示した。本研究については、学会発表論文にて成果を公表した。 ③については、前年度において実現したMgO基板上のPtナノギャップ電極の形成について、結晶基板に依存して単結晶ナノギャップ電極が形成されるか検証を行った。その作製後の電子顕微鏡(TEM)分析から、基板とPt電極からなるモアレ縞構造が明確に観測されたこの結果は、Ptの電極形成に対して基板の影響を受けながら再構成が発生している強力な証拠となっており、当初の予定通り、エレクトロマイグレーションを用いたナノギャップ形成に基板の影響を取り入れることに成功した。本研究については、学会発表にて対外報告を行った。
|