研究課題
本研究では金ナノ微粒子で起こる光第二高調波(Second Harmonic: SH)の散乱(SHレーリー散乱)が金ナノ微粒子の表面プラズモンの電気四極子に敏感に応答するという原理に着目し、またガラス基板内に一次元配列した金ナノ微粒子の個数や微粒子間隔等を精密に制御することにより、それらによって変調する一次元配列構造の電気四極子共鳴状態をこのSHレーリー散乱法を用いて解明を行うことを目的としてる。本年度はガラス基板に作成された微細な溝構造に球形金ナノ微粒子を流し込み、一次元的な配列構造を作成した。このガラス基板上に配列させた球形金ナノ微粒子の原子間力顕微(AFM)像を観測し、また、そのSH信号の空間分布の波長を変えながら観測した。得られたSH信号の分布は入射光の波長に依存して変化した。また、AFMによって得られた微粒子の構造の情報を基にして、微粒子間で発生する局所電場の電磁界計算を行った。その結果、入射波長によって変化するSH信号強度の分布は定性的に微粒子のプラズモン共鳴周波数に対応した局所電場分布によって説明できることが分かった。この微粒子配列では微粒子間隔が~20 nm離れた箇所が数カ所あり、そこでプラズモン相互作用が弱くなり、そこを境としてほぼ孤立化したいくつかの量体に分かれたと考えられる。それぞれの量体のプラズモンの共鳴周波数は数nmの微粒子間隔や個々の微粒子の大きさ等の違いにより変化したと考えられる。これらの観測結果から、SHG顕微分光法は一次元配列した金ナノ微粒子の微細な配列構造に応じたプラズモン相互作用をサブマイクロンスケールで感度良く観測できる手法であることが示された。この結果については2023年春の物理学会で報告し、また今後、論文を投稿する予定である。
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