研究課題
基盤研究(C)
光電子分光の新たな計算方法の開発を行い、それをビスマス表面に適用して、実験とよく一致する結果を得た。特に、第一原理計算でよく用いられている周期的な薄膜構造の電子状態の計算結果から、光電子分光の計算に用いる時間反転LEED状態を構成する方法を新たに考案し、具体的な計算を行った。また、光電子のスピン偏極率の高率化に関する理論的研究を行い、高率化のための構造や条件、方法などを調べた。さらに、磁性遷移金属ダイカルコゲナイドの薄膜の計算を行い、光電子分光の実験との比較により、単層構造の決定を行った。
表面物理学
光電子分光のこれまでには無い計算方法を新たに開発したことは、専門分野における学術的意義がある。特に、従来広く用いられている方法は、計算方法が複雑で、新たにプログラムを作成するためには多くの労力が必要であった。本研究の方法は、現在用いられている第一原理計算の結果を利用し、それにわずかに手を加えるプログラムを作成するだけで光電子分光の計算ができるため、この分野の多くの研究者にとって有益であると思われる。