研究課題/領域番号 |
19K05275
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
高見 知秀 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 教授 (40272455)
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研究分担者 |
関口 敦 工学院大学, 工学部, 教授 (90814765)
大家 渓 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 助教 (50549962)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ガラスピペット / 真空コンダクタンス / アルゴンガス |
研究実績の概要 |
ピペット先端からアルゴンガスを導入して,ピペットの入口側と出口側の圧力を計測することで非破壊的かつ簡便にピペットの内径と内部状態を確認する手法を開発した。従来は入口側を隔膜真空計,出口側をペニング真空計で圧力を計測してきたが,本研究では,出口側圧力を質量分析器でアルゴン分圧を計測することで,残留ガスに依存しない圧力計測を実現した。また従来の方法では,ピペットの真空槽内での装着に接着剤を用いていたが,本研究ではガラスピペット専用のウィルソンシールを作製してピペットを装着することで,接着剤の問題を解決してピペットの非破壊検査を実現した。更に,従来では圧力の計測を連続的に行っていたため,平衡状態での正しい圧力計測になっていない問題があった。そこで本研究では,流量調節器で気体導入を自動化して各平衡状態での圧力計測を行えるようにすることで,正しい圧力計測が行えるようにした。以上の改良を行って入口側圧力に対するアルゴン分圧を計測したところ,その出口側圧力の入口圧力依存性のプロットが二次函数で外挿できて,その二次函数の二次の係数の値をピペット内径に対して片対数プロットを行ったところ,直線関係になることがわかり,この直線プロットの傾きが内径1マイクロメートルを境にして変わることを見出した。このことから,先端近傍では内径1マイクロメートル以上では粘性流であり,1マイクロメートル以下では分子流であることがわかった。この片対数プロットを用いることで,我々が開発したガスフロー法でピペット出入口での圧力変化からピペット内径を非破壊的に計測して,ピペット内の状態を検査することができるようになった。 また、本研究の副次的な成果として、金を強酸を用いずに交流を用いてアルカリハライド水溶液に溶かす技術を開発した。この成果はChem Lett.に報告した。
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