本研究では分光器の心臓部である不等刻線間隔平面回折格子の製作までは実施できず、最終目標の達成には至らなかったものの、テンダーX線分光器に必要な要素技術である非周期多層膜の有用性に加え、高分解能化と広帯域化の両立を図る光学設計手法を明らかにできた。これらは、薄膜デバイスをはじめとする次世代デバイス開発だけでなく、例えば、シングルイベントやレーザーアブレーション、プラズマ物理等の高速で時間発展する系の計測機器への適用が期待される。また、現在建設中の次世代放射光施設(愛称:ナノテラス)は高輝度なテンダーX線を供給できることから、テンダーX線光学分野への進展に寄与できる。
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