研究課題
本研究では、高温・放射線環境下において動作可能な超高耐圧エレクトロニクス構築にむけてUltra-Wide Bandgap材料である窒化アルミニウム(AlN)の新規結晶成長手法およびデバイスプロセスの要素技術開発を実施した。最終年度では、深紫外線照射光学系を備えたパルススパッタ堆積装置を用いて作製したAlN/AlGaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)の高性能化に取り組んだ。HEMTのソース・ドレイン電極領域にパルススパッタ堆積装置を用いて高濃度縮退n型GaN薄膜を形成すると2次元電子ガスチャネル層に対して低抵抗オーミックコンタクトとして機能することを明らかにした。その結果、Al組成50%のAlGaNチャネル層をもつAlN/AlGaN HEMT最大電流密度 0.25 A/mm、絶縁破壊電界3 MV/cmと優れたデバイス特性が得られた。本素子の絶縁破壊電界は一般的なGaN HEMT素子に比べて3倍以上の値が得られている。AlN/AlGaN HEMTにおいて、このような高出力・高耐圧動作が実現した例はこれまでになく、高濃度縮退n型GaNを用いたAlGaN HEMT素子の低抵抗化技術は、当該分野におけるブレイクスルー技術になると考えている。このように本研究全体を通して、パルススパッタ堆積法を用いて高品質AlNおよびAlGaN結晶成長を実現し、深紫外線・高エネルギー粒子照射による欠陥の擬フェルミレベル制御の可能性を示した。またAlN/AlGaN HEMTの高性能化を実現し、超高耐圧エレクトロニクス構築に資する成果を得たと考えている。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
Applied Physics Express
巻: 15 ページ: 031002~031002
10.35848/1882-0786/ac4fcf
Crystal Growth & Design
巻: 22 ページ: 1720~1723
10.1021/acs.cgd.1c01287
Journal of Crystal Growth
巻: 572 ページ: 126269~126269
10.1016/j.jcrysgro.2021.126269
physica status solidi (a)
巻: 218 ページ: 2100074~2100074
10.1002/pssa.202100074