本研究では既存非輻射型欠陥評価系に励起光源としてQuartz Tungsten Halogen光源を付加し、さらに分光計のF値を改善することで評価エネルギー範囲の広帯域化を達成した。さらに励起光照射光学系として非球面光学系の設計、導入を行うことで照射フォトン密度を向上しつつ、エネルギー分解能の向上を図った。また、組成SiOxNyからなるダイヤモンド半導体結晶エッチング用ハードマスクの合成およびハードマスクを用いた高密度酸素プラズマエッチング技術の開発を推進するとともに、同技術を用いて不純物濃度約4×10^17 cm^-3のホウ素ドープダイヤモンド膜を用いたショットキーバリアダイオードを作製し、開発した広帯域・高感度非輻射型欠陥評価系を用いた非輻射欠陥評価を行った。その結果、光エネルギー約1.2 eVに加え、約0.8 eVの励起光照射による微弱な信号増加が見られ、この信号増加が価電子帯の上端から約0.8 eVの深さに存在する正孔トラップに起因し、その欠陥密度および光イオン化断面積がそれぞれ8×10^12 cm^-3、3×10^-14 cm^2であることを明らかにした。さらに令和3、4年度にマイクロ波プラズマCVD法によりホモエピタキシャル成長したダイヤモンド結晶上へのSiO2絶縁膜形成プロセスの開発を行った。電子ビーム蒸着法により形成したシリコン薄膜の低温酸化条件を適正化することで良好な絶縁耐性を有するダイヤモンド結晶上SiO2薄膜の作製手法を確立し、さらにSiO2/ダイヤモンド界面特性の改善を図った。
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