研究課題/領域番号 |
19K05305
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
居波 渉 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30542815)
|
研究分担者 |
中村 篤志 静岡大学, 工学部, 准教授 (50402243)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 蛍光薄膜 / 酸化亜鉛 / 原子層堆積法 |
研究実績の概要 |
本年度は、多層構造を導入した蛍光薄膜を作製し、発光強度の向上を目的とした。 4種類のZnO蛍光薄膜を作製した。それぞれの蛍光薄膜の構造は、as-depoのZnO(サンプル A)、Al2O3バッファ層上に成膜したZnO(サンプル B)、Al2O3/ZnO/Al2O3のダブルヘテロ構造(サンプル C)、およびAl2O3バッファ層上に成膜した6組のAl2O3/ZnO多層膜(サンプル D)である。原子層堆積法によって蛍光薄膜を作製した。ZnOについては220℃で、Al2O3については150℃でSiO2(300 nm)/Si基板上に堆積させた。X線回折(XRD)、カソードルミネッセンス(CL)、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、作製した蛍光体薄膜の構造と光学特性を調べた。 XRDによる結晶性の評価の結果、結晶構造はサンプルDを除き、(100)、(002)、(101)面からの回折ピークがあり,ZnO蛍光薄膜は、多結晶ウルツ鉱構造であることがわかった。次に、室温でZnO蛍光薄膜のCLスペクトルを取得した。すべてのサンプルは、近バンド端の発光と無視できるほど弱い深層発光を示した。サンプルCの紫外発光はサンプル Aに比べて2倍程度強くなった。ZnOの屈折率(~2.0)に対してAl2O3の屈折率(~1.7)が小さいため、光の取り出しが良くなったと考えられる。AFM像から得られた二乗平均平方根(RMS)の粗さは、サンプルA:2.4nm、サンプルB:1.8nm、サンプルC:1.9nm、サンプルD:0.5nmであった。Al2O3バッファ層を導入することで、小さな結晶粒を含む滑らかな表面になった。 Al2O3/ZnO/Al2O3構造を導入することで従来の2倍の発光強度をもつ蛍光薄膜を作製することに成功した。この蛍光薄膜により、EXA顕微鏡のフレームレート、信号雑音比の向上に期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Al2O3/ZnO/Al2O3構造を導入することで従来の2倍の発光強度をもつ蛍光体薄膜を作製することに成功した。今後、SiN上への蛍光薄膜の成膜条件を検討し、実際に電子線励起超解像顕微鏡でテストする。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、SiN上への蛍光薄膜の成膜条件を検討し、実際に電子線励起超解像顕微鏡でテストする。金微粒子を観察試料として、空間分解能、信号雑音比を評価する。そして、細胞の動画観察を行う。
|