本研究では、100モード以上の空間単一次元モードを光学的に一括合分波できる集積デバイスの基礎技術の確立を目的とする。当該年度は、(1)4モード合分波器の原理実証及び設計、(2)ナノピクセルを用いた空間単一次元モード合分波器及び高次モード導波路コンプレッサーの設計、について検討を進めた。以下、各項目について、実績概要を説明する。 (1)4モード合分波器の原理実証及び設計:ビーム伝搬法シミュレーションの解析により、4モード合分波器の基本原理実証及び設計を行った。導波路のⅤバラメータを変えることにより、モード間のクロストークが改善できることは確認されたが、原理的にν次モードとν+1次モード間のπの等位相面の位相差による各モードの集光位置の差が十分なクロストークを得ることが難しいことを判明した。 (2)ナノピクセルを用いた空間単一次元モード合分波器及び高次モード導波路コンプレッサー:機械学習手法によりナノピクセル構造を用いた空間単一次元モード合分波器に加え、新たに高次モードコンプレッサーを提案し、その可能性について検討した。その結果、ナノピクセル構造を用いることで、3次モードまでの高次モードにおいて、50%の幅が縮小できることを確認し、試作を行った。
更に当該年度においては、システムに進むうえで重要技術となる、モード合分波器デバイスとマルチコアファイバーとの直接結合を実現する3次元導波路による高精度直接結合技術を検討した。3次元導波路形成時、大きな課題であったコアの位置ずれを抑制するために基礎検討として、機械学習であるYOLO(You Only Look Once)を導入し、検出時間110 msと、高速導波路描画のために必要な検出時間300msに比べて極めて短時間に検出できることを初めて確認した。
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