深部観察の障害となっている主な要因として、生体組織による励起光および蛍光の散乱、背景蛍光の発生などがあげられる。本研究では、焦点外蛍光の発生が励起光のパルス幅に依存することを見出した。マウス脳の深部観察において、120 fsの励起パルスよりも 8 fsの励起パルスで観察した方が到達深度が30%ほど大きくなり、これは同じ深さを観察するにあたり励起光の平均パワーを1桁低くしても済むという結果であり、蛍光プローブの褪色を抑制する上でも画期的である。また、光活性型蛍光タンパク質を用いた到達深度の伸長では大幅な改善が得られなかったものの、暗状態試料の作成と使用方法において多くの知見が得られた。
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