研究課題/領域番号 |
19K05315
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
山田 逸成 摂南大学, 理工学部, 准教授 (40586210)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワイヤーグリッド / 異方性エッチング / 干渉露光 |
研究実績の概要 |
研究の目的:現行の微細構造を有する赤外デバイスは、特殊な基板材料を使用し、半導体プロセスを用いて加工するため、高価であることが課題であった。本研究では、この課題を解決すべく、二光束干渉露光法とSiのアルカリ異方性エッチング、金属の斜め蒸着法を併用したプロセス技術により、Siと金属の微細(サブ波長)周期構造で構成する超精密赤外デバイスを製作する。最終的に赤外用の偏光子、波長選択フィルタ、完全吸収構造の製作を目標とする。この作製プロセスの特徴として、高価なドライエッチング装置や成形装置が不要なことである。 2019 年度の実施計画 「デバイス設計技術の構築および Si 酸化膜の形成と評価」:作製する金属の狭周期構造が赤外域に対して偏光機能を示す設計、および共鳴による吸収波長を設計する必要がある。ここでは、この周期構造の設計に適した RCWA法とFDTD法を活用して、赤外域で偏光子や波長フィルタとして適した構造を見出す。並行して、加熱によるSi酸化膜の形成を行い、膜厚評価を行う。Si酸化膜はSiエッチングに使用するアルカリ水溶液に対して優れた耐性(マスク効果)を有していることから、マスクとして使用する。 実績概要:RCWA法を利用して赤外気で機能するワイヤグリッド偏光子の光学シミュレーションを行った。FDTD法についてはRSOFT社製のFullWAVEをすでに購入し、使用法を理解しているところである。2020年度に設計を行う予定である。Si酸化膜においては、Si基板を加熱温度800度、時間60分の条件で加熱することで濡れ性が大きく変化することを確認することができ、Si酸化膜の生成を確認できた。Si酸化膜表面に二光束干渉露光法を利用してフォトレジストの格子構造(格子周期1μm)を形成することができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RCWA法によりシミュレーションを実施していることに加え、Si酸化膜の形成、および干渉露光によるパターニングを行うことができているから。
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今後の研究の推進方策 |
Si酸化膜のエッチング、およびSiの異方性エッチングを実施した後、Alの斜め蒸着を行う。作製した試料の赤外特性を評価する予定である。 この条件でフッ酸を用いてSi酸化膜を格子状に形成し、酸化膜格子をマスクとしてKOH水溶液中でSiを異方性エッチングしていくつもりである。 Si基板を加熱温度800度で加熱して形成したSi酸化膜表面に二光束干渉露光法を利用してフォトレジストの格子構造(周期1μm)を形成することができている。 この条件でフッ酸を用いてSi酸化膜を格子状に形成し、酸化膜格子をマスクとしてKOH水溶液中でSiを異方性エッチングしていくつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
得られた実験結果を解析するために現在使用しているシミュレーションソフトの保守更新を行うことを検討するため必要とした。 次年度予定していた真空蒸着装置をすでに得ることができたので、今後予定している実験内容に対して問題なく遂行できると考えている。
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