2022年度の計画 「赤外デバイスの製作と評価」:金属周期構造の作製として金属(AlやAu)の斜め蒸着法を実施し、成膜後の光学および構造評価を行う。様々な入射角度で金属の斜め蒸着を行い、光学特性への影響を調べる予定である。上記シミュレーション技術を用いて斜め蒸着で得られる金属周期構造に対する理論的解析を行い、最適な構造を見出していく。 最終的に偏光子については市販の性能レベル(消光比20dB以上)となることを目標とする。波長選択フィルタに関しては、温室効果ガスであるCO2ガス(吸収波長4.3μm)のセンシングを考慮して、波長4μm付近で透過ピークとなることを目標とする。同様に、赤外用の完全吸収構造の形成も試みる。波長選択フィルタの形成では、Fabry-Perot構造(2枚の試料の微細構造を向かい合わせて貼り合せる)にすることでフィルタ機能を高めることも検討していく。 2022年度の成果:赤外偏光子については、すでに作成することができたのでSiのサブ波長周期の二次元構造を試みたが、均一に形成することが困難であったため、石英基板上に二光束干渉露光で二次元構造にパターニングし、ドライエッチングした試料にAuの斜め蒸着を行った結果、周期280nmのAuの突起構造と、孔構造を形成することができた。2つの構造の透過・反射スペクトルの評価を行った結果、可視域で90%程度となる完全吸収体を作製することができた。また、蒸着方向に対する偏光依存性も確認することができた。
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