本研究では、低コヒーレンス光を用い、両面干渉計とタンデム型干渉計の技術を組み合わせることにより、透明平行平板試料に対して、透過光や裏面反射光の影響を除き、試料の幾何学的厚さを高精度に測定する手法を開発することを目指した。両面干渉計で透明試料を測定するためには、不要な光の影響を除くために、可干渉距離が短い低コヒーレンス光を用いる。しかし、両面干渉計では、原理上、可干渉距離以上の光路差を持つ光の干渉も測定しなければならない。そこで、両面干渉計と直列に補償干渉計を接続し、補償干渉計の光路差が測定したい両面干渉計内の光路差と等しくなるように調節して、両面干渉計の検出器上で干渉信号を生成させ、その時の光路差を求める。 令和4年度は、令和3年度に設計した測定用の両面干渉計を構築した。両側からCCDカメラにより干渉縞画像を取得することにより、試料厚さの2次元分布が測定できる。この両面干渉計を、構築済みの補償干渉計と光ファイバで接続し、タンデム型低コヒーレンス両面干渉計を完成させた。また、補償干渉計では、低コヒーレンス光と同時にHe-Neレーザも通すことにより、補償光路差を長さの国家標準にトレーサブルとした。画像取得プログラムの作成、補償干渉計の制御プログラムや光路差測定プログラムの改良を進めた。不透明の試料を設置し、厚さを得るために必要な両面干渉計内の各光路差を求め、補償干渉計で補償することにより、コヒーレンス長以上の光路差がある場合でも、各干渉縞画像を発生、取得できることを確認し、提案原理を実証した。
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