研究課題
基盤研究(C)
軟X線を照射しながらアラニンから生成するラジカル種の時間変化を測定することに初めて成功した。また、軟X線照射は、ガンマ線や硬X線より高LET照射であり、ラジカルの生成効率が低く、ラジカル再結合が起きている事がわかった。軟X線のエネルギーが低下するに伴い、少ないフォトン数でラジカル生成効率が低下することがわかった。フルクトース、グルコース(混合物)、αグルコース、βグルコース、スクロースについて、ガンマ線照射での線量応答性および経時変化を詳細に検討したところ、βグルコースが最良の結果を与えた。
放射線化学
線量計として広く使用されているアラニンへの軟X線照射により、軟X線のエネルギー低下に伴い、高LET照射である事が判明した。これは、放射線照射の生物効果への軟X線の影響に関する示唆を与えるのみならず、軟X線リソグラフィーなど産業利用においても新たな知見を与える。スクロースのラジカルの線量計への応用は、原子力施設の事故の際の線量評価などが期待されている。本研究で、βグルコースが、より線量応答性や安定性で優れている事が判明し、新たな線量計開発の可能性が開けた。