研究課題/領域番号 |
19K05344
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平野 伸夫 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (80344688)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 長石 / 熱発光 / 放射線照射 |
研究実績の概要 |
本年度は,昨年度までにおこなった.天然のカリ長石および斜長石を用いて自然熱発光および放射線照射後の人工熱発光についての結果をもとに,エルサルバドル国内の火山地帯における長石試料をエルサルバドル大学と協力して採取し,TL発光実験をおこなう予定であった.しかし.COVID-19の影響のためエルサルバドルへの渡航ができず,現地調査については次年度以降に持ち越すこととした. その代替として,エルサルバドル大学と本研究科とのあいだで共同プロジェクト(SATREPS)で収集したエルサルバドル国内の主要地熱地帯の火成岩試料を使用することとして,実験を継続した. 使用した火成岩は,必ずしもTL観察の目的に沿うような試料ではなかったため,長石の採取を完全におこなう事ができなかったが,5カ所の地熱地帯から合計で31の長石試料を得ることができた. これらの試料のうち,数カ所の長石からは自然TLを観察することができた.ただし,試料の採取位置に規則性がなかったためこれらの結果から,地熱地帯での熱源との位置関係については明確な相関を検討する事ができなかった. しかし,長石から天然TLを観察できたことから,人工放射線照射を利用した人工TLをおこなうことなくデータを収集できる可能性が示唆された.また,人工TLの結果も加え,全測定試料のしっかりとした位置関係を把握することにより,長石熱発光に熱源探査への実現性が高まったと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はCOVID-19のため,エルサルバドル国における現地調査および試料の採取ができなかったものの,エルサルバドル大学と本研究科とのあいだで実施しているSATREPSプロジェクトで採取した試料を用い,現地の地熱地帯から産出した長石の自然熱発光(NTL)データを得ることができた.これは,さらに人工熱発光(ATL)データを使用すれば,長石による地熱探査への応用が期待できる結果だと言える.
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今後の研究の推進方策 |
実際の地熱地帯で採取した長石から自然熱発光(NTL)データを収集できる見込みがたったことから,さらに現地試料を用いた検討を進めていく.また,現在は熱発光の発光量と加熱温度の関係のみを観察しているが,熱発光波長も同時に測定できる目処がたったため,長石に対する天然での熱の影響が熱発光波長に対して影響を与えていないかのどうかの検討をおこなう.
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