• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

超音波を利用したオイルサンドからのビチューメン低温分離回収過程における脱硫の検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K05345
研究機関秋田大学

研究代表者

大川 浩一  秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (00375221)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード脱硫 / オイルサンド / ビチューメン / 超音波 / 硫黄
研究実績の概要

露天掘りにより回収されたオイルサンドからビチューメンを分離する過程において、ビチューメン中の硫黄の脱離を同時に行うことを目的として研究を進めている。溶液中で酸化脱硫するために、ビチューメンを分散でき、かつ水と混和性を有する溶媒を探索し、テトラヒドロフラン(THF)を選択した。オイルサンド3gを45℃、30mLの溶液(THF溶液15mLとイオン交換水15mLの混合)に入れ、28 kHz, 200Wの超音波を間接照射したところ、10分の照射で99%のビチューメンを回収できた。撹拌(750rpn)では回収率は約20%であったため、超音波とTHF溶液の組み合わせは、オイルサンドからのビチューメン分離において良好な結果を示すことがわかった。ビチューメン1gをTHF15mLに分散させたところ、その粘度は218 mPa sであった。これはビチューメンを100℃で熱したときとほぼ同じ粘度であったことから、THFを用いることで、大幅に粘度が低下し、低温でもオイルサンドからビチューメンが分離できたと考えられる。オイルサンド3gをTHF15mLと3wt%のH2O2 15mLの混合溶液に入れ、10分超音波照射を行いビチューメンを分離するとともに硫黄を酸化した。その後、水酸化ナトリウム溶液15mLを添加し60分超音波を照射し、酸化した硫黄を水酸化ナトリウム溶液側へ移動させ回収した。分散しているビチューメンはCO2を吹き込むことで回収した。回収したビチューメンは70℃で3時間加熱することでTHFを分離した。その結果、ビチューメン回収率は93%、脱硫率は86%と高い値を示した。過酸化水素の濃度が高いと水酸化ナトリウムと激しく反応し酸素を発生するため、酸化した硫黄が水酸化ナトリウム溶液に移る前に、発生した酸素気泡にビチューメンが付着し水面に浮上し、その結果、脱硫効率が低下することも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究成果である、THF溶液と超音波を用いたオイルサンドからのビチューメンの分離過程における硫黄の酸化脱離について結果をまとめ学術論文として報告した。また、水酸化ナトリウムで処理することで溶液がアルカリ性になってしまい、通常のエアレーションでは回収効率は低い値を示すが、CO2を流入することで回収効率が向上することを見出した。この結果についても学術論文として報告した。順調に研究が進んでいる。

今後の研究の推進方策

THFよりも現地で使用しやすい薬剤(界面活性剤)を探索する。溶媒とオイルサンド間の反応を促進させるために超音波の使用を続けるが、超音波の周波数、出力、照射時の雰囲気などの影響も調べる。超音波(28 kHz)とTHFの組み合わせで、オイルサンドからのビチューメンの分離に効果を有し、また、脱硫も可能であることが明らかになった。今後は、ビチューメン中に、本酸化脱硫法にて処理しやすい硫黄としにくい硫黄の形態を明らかにしたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

おおよそ順調に予算を使用できていたが、紫外可視分光光度計の修理費が当初予定より高く、超音波発振器の購入を見送ったため、予算が余った形になった。次年度の予算と合わせて使用したいと考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Enhancement of bitumen recovery from the oil sand in an alkaline solution using ultrasound irradiation and carbon dioxide2020

    • 著者名/発表者名
      Okawa Hirokazu、Saito Tomonao、Yasuda Shohei、Kawamura Youhei、Kato Takahiro、Sugawara Katsuyasu、Babadagli Tayfun
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 59 ページ: SKKD02~SKKD02-4

    • DOI

      https://doi.org/10.35848/1347-4065/ab79ec

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Separation and desulfurization of bitumen from oil sand using oxidation combined with ultrasound2019

    • 著者名/発表者名
      Okawa Hirokazu、Akazawa Nobuyuki、Kato Takahiro、Sugawara Katsuyasu
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 58 ページ: SGGD01~SGGD01-3

    • DOI

      https://doi.org/10.7567/1347-4065/ab0bb0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 超音波併用酸化処理によるオイルサンドからのビチューメンの低温分離と脱硫=テトラヒドロフランを溶媒として用いて=2019

    • 著者名/発表者名
      大川 浩一
    • 雑誌名

      超音波TECHNO

      巻: 31(5) ページ: 26-30

  • [学会発表] 二酸化炭素と超音波を利用したアルカリ熱水溶液中におけるオイルサンドからのビチューメン高効率回収の検討2020

    • 著者名/発表者名
      安田昌平, 大川浩一, 加藤貴宏, 菅原勝康
    • 学会等名
      第54回 秋田化学技術協会 研究技術発表会
  • [学会発表] 超音波とCO2を用いたアルカリ溶液中におけるオイルサンドからのビチューメン増進回収2019

    • 著者名/発表者名
      大川浩一, 斉藤知直, 安田昌平, 川村洋平, Tayfun Babadagli, 加藤貴宏, 菅原勝康
    • 学会等名
      第40回 超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム
  • [学会発表] 二酸化炭素と超音波を利用したアルカリ溶液中におけるオイルサンドからのビチューメン高効率回収の検討2019

    • 著者名/発表者名
      安田昌平, 大川浩一, 加藤貴宏, 菅原勝康
    • 学会等名
      第28回 ソノケミストリー討論会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi