汚染水の放射性元素除去剤として使用されているCHA型ゼオライトのSr交換能力を調べるため、東ソー製のK-CHAでSr交換を行った。また細孔径が大きなK-AM2のSr交換能力についても調べた。K-CHAおよび合成した単相のK-AM2について各0.5gに0.01~1.0Mの各濃度のSrCl2水溶液25mLを加え、25と80℃で24h振とう処理を行いSr交換体を作製した。粉末XRDの結果、得たすべての試料は単一相であった。K-CHAのSr交換体ではSr交換率はSrCl2濃度が0.1Mまでは急激に増加していくが、その後はほぼ一定になった。Sr交換率は25℃の時約70%、80℃の時約80%が最大となった。K-CHAのSr交換能力はCs交換の場合と同程度の交換能力を示すことが分かった。K-AM2のSr交換体では、どちらの振とう処理温度においてもSr交換率6%であり、Cs交換と同様にほとんどイオン交換されなかったことが分かった。次に良好な結晶性を維持した状態でNa-GTSを得るため、結晶性の良いCs-GTSのNa交換を行った。得たCs-GTS0.5gに6.14M NaCl水溶液25mLを加え、80℃で24h振とう処理した。得たNa-Cs-GTS0.3gに0.01~1.0Mの各濃度のCsCl水溶液15mLを加え、25℃で24h振とう処理しCs交換体を作製した。Cs交換率はCsCl濃度が1.0Mで72%にとどまった。作製した各Cs交換体の単位格子体積は、Cs交換率が高くなるにつれて減少する傾向が観測された。TG-DTAの結果、Cs交換率が高い試料ほど含水率が低いことが分かった。これはCs交換率の増加に伴う単位格子体積と含水量の減少は、イオン半径の大きなCs+が小さなNa+を交換することによって細孔内の空きスペースが少なくなり、細孔内を占有する水分子数が減少したことによるものだと示唆される。
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