研究課題/領域番号 |
19K05353
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
木上 洋一 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 教授 (50274486)
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研究分担者 |
永田 修一 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 教授 (30404205)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 潮流発電 / 衝動タービン / 反動タービン / 旋回集流装置 |
研究実績の概要 |
海洋エネルギーのうち,潮流エネルギーは,潮流の変動が規則正しく起こる双方向の往復流のため,信頼性の高いエネルギー源とみなされている.高出力の大型潮流タービンを目指すには,羽根車直径を超えた受流面積の増大が有効であり,そのためにタービンまわりに集流装置を設置して集流による高出力化を検討する.また本研究では,固定されたまま双方向流れに対応できる往復流対応の集流装置とタービンを採用する.タービンのまわりに設置する集流装置の内部に旋回流れを促す工夫を施せば,タービンにおける角運動量変化を増すことができるので,タービンの高出力化を導くことができる.そこで本研究では,潮流タービンを高出力化するための,往復流対応の旋回集流装置を用いた潮流発電システムを研究開発することを目的とする. 令和元年度はこれまでに開発した集流装置に案内羽根を設置し,衝動型プロペラを対象として数値流体解析とモデル実験を行い,旋回集流装置の効果を検証した.数値流体解析においては,案内羽根の曲がり角を主なパラメータとして最適化を行い,最も入口角運動量が大きくなる案内羽根形状を設計した.入口角運動量がタービントルクに直接結びつくため,集流装置に案内羽根を設置した旋回集流装置がタービンの出力増大に有効である.また旋回集流装置の実験モデルを製作して回流実験装置により実験的検証を行った.その結果旋回集流装置により,タービン内部への潮流が流れ込む流量を増すことができ,すなわち集流効果を高めることができ,高出力化への道筋を付けることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度はこれまでに開発した集流装置に案内羽根を設置し,衝動型プロペラを対象として数値流体解析とモデル実験を行い,旋回集流装置の効果を検証した.数値流体解析においては,案内羽根の曲がり角を主なパラメータとして最適化を行い,最も入口角運動量が大きくなる案内羽根形状を設計した.その後旋回集流装置の実験モデルを製作して回流実験装置により実験的検証を行った.その結果旋回集流装置により,タービン内部への潮流が流れ込む流量を増すことができ,すなわち集流効果を高めることができ,高出力化への道筋を付けることができたためである.
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今後の研究の推進方策 |
今後は旋回集流装置を反動型プロペラに適用して,数値流体解析とモデル実験により検討する.すなわち,令和元年度に開発した旋回集流装置を基に,その入口旋回流れに適合する反動型プロペラの開発を行う.反動型の場合は翼の失速を避けるために旋回速度をやや抑える必要があるが,流れの通り抜け性が優れているので流量を大きく取れる見込みがあり,入口角運動量の最大化を図ってタービンの高出力化を目指す.さらに,衝動型と反動型のプロペラの旋回集流装置に対する特性を総合評価し,最も高出力となる潮流発電システムを提案する.すなわち,衝動型および反動型のプロペラを比較し,優れた性能を示すプロペラの見込みをつけて,まずプロペラ形状の改良を図り,その改良されたプロペラに対して,より適合性の高い旋回集流装置を再設計し,数値流体解析とモデル実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は,予算申請時に購入を予定していた,必要仕様を満たす数値流体解析用のワークステーションを,予算額より低く調達することができたためである. 使用計画としては,タービンローターや旋回集流装置の実験モデル製作費,学会発表のための旅費に使用する予定である.
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