• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

BD太陽集光装置のための蓄熱粒子流動型太陽光レシーバの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05354
研究機関宮崎大学

研究代表者

長瀬 慶紀  宮崎大学, 工学部, 教授 (90180489)

研究分担者 友松 重樹  宮崎大学, 工学部, 助教 (30315353)
河村 隆介  宮崎大学, 工学部, 教授 (70234135)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード太陽熱 / 蓄熱 / 顕熱 / 粒子流動 / 再生可能エネルギー / 太陽集光装置 / 太陽光レシーバ
研究実績の概要

太陽熱利用は,蓄熱により夜間でも熱が利用でき,電気を貯蔵するバッテリーと比べ,低コストでエネルギー貯蔵が可能である.太陽熱の蓄熱には溶融塩が広く使われているが,600℃を超えると分解し,220℃以下では凝固するため,使用範囲が220から600℃でしかも顕熱しか利用されていていない.そこで,使用範囲が広い固体顕熱粒子の利用を検討し,固体攪拌・直接加熱式蓄熱槽を開発した.しかし,固体攪拌・直接加熱式蓄熱槽は,バッチ式の加熱装置であり,溶融塩による太陽熱発電のように連続的に加熱をしながら熱機関を駆動させて発電等を行うことは困難である.そこで,固体蓄熱材料である蓄熱粒子を連続加熱するための蓄熱粒子流動加熱装置の開発と,加熱された蓄熱粒子と太陽熱で駆動する熱機関の作動流体を直接接触させることで大きな伝熱面積が得られる熱交換器の開発を行うこととした.
固体攪拌・直接加熱式蓄熱槽は,宮崎大学のビームダウン式タワー型太陽集光装置(BDSC)に特化した装置である.すなわち,一般のタワー型太陽集光装置に使われている受光装置と違って,上方照射する太陽光によって蓄熱粒子を加熱できるようなっている.このような粒子加熱装置は他に見当たらないため,固体攪拌・直接加熱式蓄熱槽をもとに,BDSC用蓄熱粒子流動加熱装置へ改造することとした.また,現有の固体攪拌・直接加熱式蓄熱槽では,加熱後の蓄熱粒子に温度のばらつきが大きいため温度均一化の検討も行った.数値シミュレーションとBDSCによる実験により,加熱後の蓄熱粒子の温度を均一にするための装置改造の方針がほぼ決定した.また,蓄熱粒子流動加熱装置と熱交換器を連結させるため,蓄熱粒子流動化熱装置から蓄熱粒子を一定量移動させる機構,および蓄熱粒子を常圧のパイプから圧力の高い熱交換器へ移動させるための機構についての検討を開始した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度の計画では,蓄熱粒子流動加熱装置の開発と熱交換部の検討であり,概ね計画通りに進んだ.
蓄熱粒子を流動化して連続的に加熱する装置の開発に関しては,固体攪拌・直接加熱式蓄熱槽をもとに,円筒型太陽光レシーバの中央に太陽光を照射し,外周から蓄熱粒子を供給し円筒の中心へ向かって移動させ,円筒中心下部にあけた穴から蓄熱粒子を排出させるための検討を行った.蓄熱粒子を排出する穴径は,加熱後の蓄熱粒子の温度のばらつきに影響を与える.そこで,加熱後の蓄熱粒子の温度がより均一になり,かつスムーズに蓄熱粒子が移動できることのできる穴径を決定するため,数値シミュレーションおよびBDSCによる実験を行った.また,蓄熱粒子の流量を制御する装置として次の2種類の装置を検討した.すなわち,レシーバ出口の穴に取り付けたパイプを先端が尖ったピストンにより開閉するピストン型の装置と,ロータリーフィーダー型の装置である.ピストン型は熱損失や熱による変形の影響が少ないこと,ロータリーフィーダー型は安定した蓄熱粒子の排出量が可能なこと,とそれぞれ特長を持つ.なお,ロータリーフィーダーは,スクリュー型を採用した.
熱交換部は,蓄熱粒子流動加熱装置から蓄熱粒子の供給機構を通って移動した蓄熱粒子を一定時間留め,熱機関の作動流体と熱交換を行った後,粒子を排出する装置である.熱交換部は,熱交換器と蓄熱粒子の供給および排出を行う装置からなる.蓄熱粒子の供給機構は,熱交換部内の高圧の作動流体の漏れを最小にする必要がある.そのため2個1組の弁機構を必要とするが,弁機構については,ポペットバルブ動弁機構とボールバルブについて検討した.ポペットバルブについては,2つ直列にしたバルブの開閉タイミングと異物を噛み込まないようにする検討を行い,ボールバルブについては,開閉タイミングと寸法の検討を行った.

今後の研究の推進方策

次年度は,流動化装置,熱交換部および蓄熱粒子が太陽光によって加熱される受光部へ蓄熱粒子を持ち上げるための蓄熱粒子供給装置の設計・製作を行い,蓄熱粒子流動型太陽光レシーバを構成する要素を完成させる.
流動化装置については,ピストン型かスクリュー型フィーダーのいずれかの機構とすることを決定し,実機の大きさに合わせて採用した機構の設計・製作を行う.熱交換部への蓄熱粒子供給機構は,ポペットバルブ動弁機構かボールバルブのいずれにするかを決定し,熱交換部の大きさに合わせて採用した装置の設計・製作を行う.熱交換部内では,伝熱面積を大きくするため,蓄熱粒子と熱機関用作動流体は直接接触させる.そのため,作動流体が蓄熱粒子の間を通る経路を長くするための検討を行う.また,熱交換器からの蓄熱粒子の排出機構は,熱交換部からの作動流体の漏れを少なくし,流量制御しながら蓄熱粒子を排出させる必要がある.そのため,作業流体の漏れを少なくできる流動化装置で採用した機構と,蓄熱粒子の流量を制御できる熱交換部への蓄熱粒子供給を供給する機構を組み合わせた装置を製作する.受光部への蓄熱供給装置については,当初バケット型を想定していたが,BDSCでの蓄熱粒子流動型太陽光レシーバの設置スペースを考慮して,蓄熱粒子供給機構で検討しているスクリュー型フィーダーが採用できないか検討を行う.
最終年度は,流動化装置,熱交換部,受光部への蓄熱粒子供給装置の各要素を組み合わせて蓄熱粒子流動型太陽光レシーバを完成させる.まず,実験室において非加熱での動作確認を行い,実際にビームダウン式タワー型太陽熱集光装置による加熱実験を実施する.実機での加熱実験においては,受光部での太陽光放射流束強度,蓄熱粒子の移動速度および温度履歴,太陽熱で駆動する熱機関の作動流体の温度変化および流量を測定し,相互の関係を明らかにする.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 太陽集光装置による軽焼ドロマイトの加熱特性調査2019

    • 著者名/発表者名
      赤坂重尭,長瀬慶紀,友松重樹,前田順登
    • 雑誌名

      宮崎大学工学部紀要

      巻: 48 ページ: 17 - 22

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 蓄熱粒子からの熱の取り出し方法の検討2019

    • 著者名/発表者名
      野村文椰,長瀬慶紀,前田順登,友松重樹,木村正寿,安在晋太郎
    • 雑誌名

      宮崎大学工学部紀要

      巻: 48 ページ: 23 - 28

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 放射温度計を利用した高温域の蓄熱粒子の吸収率計測2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤大輝,長瀬慶紀,友松重樹,河村隆介
    • 学会等名
      日本機械学会 九州支部 第73期総会・講演会
  • [学会発表] 太陽熱を用いた酸化マグネシウムの還元(レトルト炉の回転による温度均一化の検討)2020

    • 著者名/発表者名
      濟陽 悠馬,長瀬 慶紀,友松 重樹,赤坂 重尭,河村 隆介
    • 学会等名
      日本機械学会 九州支部 第73期総会・講演会
  • [学会発表] Development of Optical Axis Adjustment Device for Heliostat of Beam-Down Solar Concentrator2019

    • 著者名/発表者名
      R.Nagatomo, S. Tomomatsu, Y. Nagase
    • 学会等名
      International Conference on Applied Electrical and Mechanical Engineering
    • 国際学会
  • [図書] Dynamics and Control of Advanced Structures and Machines2019

    • 著者名/発表者名
      Ryuusuke Kawamura, Kozo Onoue, Yoshinori Nagase, Shigeki Tomomatsu
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-3-319-90884-7 (eBook)

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi