研究課題/領域番号 |
19K05355
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
天久 和正 琉球大学, 工学部, 准教授 (40284955)
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研究分担者 |
鈴木 正己 琉球大学, 工学部, 客員研究員 (30171250)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 洋上風力発電 / 浮体式 / ネガティブダンピング / ピッチ角制御 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,浮体式洋上風力発電において安定かつ高効率な電力供給を行うことを目標とし,高風速域での定出力運転とともに,より受動的な方法でネガティブダンピング(風車特性と出力制御の連成による自励振動,振幅増加)を抑制し,高度な運転安定化を図ることである. 今年度は,ネガティブダンピング防止策の観点(定回転に限定しない運転制御)から風車特性を見直すために,風車特性のシミュレーションツール開発として,数値流体計算コードの開発および汎用数値計算コードによる風車特性の解析に,力点をおいて研究を実施した. 数値流体計算コードの開発では,計算格子の解像度に関する知見が得られた.すなわち, 2枚翼水平軸風車(デルフト工科大学およびNREL)の性能予測において,周期境界条件を用いた半球状の計算領域(タービン半径5倍)とし,通常の計算格子よりも1/10~1/100倍程度の粗い計算格子で解析を行ったところ,実験結果と良好な一致が得られることを示した.流体力に関しては粗格子でも実用的に十分な解析結果が得られる可能性が高く,細密な格子を利用する場合はその効用を十分に吟味し,解析することが推奨される.また,汎用数値流体計算コードによる解析では,2次元および3次元の風車翼型S809について,粘性モデル(laminar,Spalart-Allmaras,SSTk-ω)および迎え角(0~20.15°)を変化させて解析を行った.その結果,3次元翼まわりの流れではlaminarモデルを用いても失速角付近まで実験値と良好な一致が得られることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたとおり,風車特性のシミュレーションツール開発に関して,数値流体計算コードの開発は順調に進んでおり,汎用数値計算コードによる風車特性の解析についても成果が得られつつある. 一方,本研究課題のもう一つの柱である浮体特性のシミュレーションツール開発に関しては,浮体の揺動特性について研究を進めているところであるが,解析結果を含めて検証中であり,成果がまだ得られていない.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き,風車特性のシミュレーションツールの開発を行う.すなわち,ヨー角(風向回転角)や変動風中の風車特性(ネガティブダンピングでは風車タワーの傾斜影響)を把握するために,非定常計算を実施し,これにより得られた結果を用いて,浮体動揺と風車の連成解析に必要なデータをシミュレーションから算出する.模型実験では計測しがたいダイナミックストールなどの動的風車特性をより正確に算出することが目的である. また,浮体特性のシミュレーションツール開発については,浮体の揺動特性を把握できるように,解析コードの構築および解析結果の検証を行い,風車浮体構造物として解析を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
海外旅費が計画より低く収まったことによるものである. 今年度は代表者および分担者の合算した執行を行わず,次年度にシミュレーションツール開発に必要な計算機に計上する.
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