研究課題
地球にある資源は有限である。持続可能な社会を構築していくためには、消費・廃棄された資源を回収し、再利用することが重要となる。本研究は、社会における廃棄フローの最下流部にあたる「最終処分場」に焦点をあて、この場からの希少金属資源の回収をめざしている。 これらの研究は、1)廃棄物埋立層の希少金属の種類・濃度およびそれらの層内賦存形態の把握、2)希少金属高濃度ゾーン特定のための非破壊による探査法の確立、3)特定した高濃度ゾーンから当該物質をピンポイントで回収する技術の検討、4)回収物から有用な金属を濃縮・選別する方法の検討、から構成される。本研究は、前述の3)と4)の項目に焦点をあてており、研究全体としては「最終処分場鉱山学」を確立することが最終目標である。前年度までに、3)については地層流動化計算および回収技法の立案・設計、4)については、処分場掘削コアを用いて、重力選別・磁力選別・浮遊選別およびそれらの組合せによる選別を試み、濃縮率のよい希少金属類の検討を行ってきた。これらに基づいて、本年度は、立案した回収技術の有効性を最終処分場現場で実施し、検討した。この現場では、前述の1)および2)についてはすでに検討がなされ、高濃度ゾーンの位置も解明されており、そのゾーンをターゲットとした実験である。そして、この実験から採取した埋立物について、重力選別・浮遊選別およびこれらの組合せによる選別、濃縮実験を行った。回収方法は、高濃度ゾーンにピンポイントでボーリング掘削し、その孔に二重菅を設置し、それに圧縮空気を通過させることで、ターゲットとした物質を回収できることが判明した。また、重液選鉱と浮遊選鉱を組み合わせることにより、Au,Ag,Ni等の品位率が向上し、平均的な粗鉱品位より高くなった。本実験のような「層内含水率が高い」処分場では重液選鉱と浮遊選鉱の組合せが有効と推察された。
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Waste Management
巻: 141 ページ: 147-153
10.1016/j.wasman.2022.01.008
巻: 126 ページ: 652-663
10.1016/j.wasman.2021.04.004