研究実績の概要 |
令和2年度は、耐熱FBGセンサの鋼材への貼り付け技術を確立した。鋼材としては、コンクリート柱補強用の異形鉄筋を用いた。異形鉄筋の縦リブに沿って幅1mm深さ1m長さ30cmの溝加工を行った。この溝の端部に金メッキ加工を行いFBGセンサをナノコロイド銀接着剤で接着した。FBGセンサ部から延びる光ファイバ部分は溝に沿って這わせるように導き、鉄筋の端部から光ファイバ保護コードを取り出した。溝は耐熱エポキシ接着剤を充填して補強した。こうして試作したFBGセンサ組み込み鉄筋を建設中の建屋に組み込んだ。 建屋は、東京理科大学野田キャンパスに建築中の建築学科研究棟である。施工業者の竹中工務店との交渉を行い、特別許可を得てコンクリート打設前に組み上げられたコンクリート柱に2本の鉄筋を番線で固定した。現在、コンクリートが注入されてFBGセンサは柱と一体構造となっている。建屋は完成後に、内装が施され重量機器が据え付けられる。このため、建屋全体に圧縮方向の荷重がかかることになる。耐熱FBGセンサは今後建屋の構造健全性の監視のために、定期的に計測されることが期待される。 依頼論文(査読有り)として、「光技術コンタクト」Vol.58, No.6, pp.25-31,(2020)に、「レーザー加工で作製した耐熱FBGセンサの鉄筋コンクリート柱への現場実装の試み」が掲載された。また、本成果を原子力学会(秋)において発表を行った。また、保全学会に「来るべき未来の舞台」、保全学maintenology, Vol.19, No.3, pp.78-79,(2020)と題する依頼論文が掲載された。 本技術を適用した接合手法は、銅管とSUS管の接合技術として企業に技術提供を打診している。
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