研究課題
基盤研究(C)
電子の反物質である陽電子は、ポジトロン断層法などの医療分野で広く利用されている。しかしながら、陽電子と生体関連分子との相互作用はほとんど未解明である。本研究課題では、陽電子と生体関連分子の詳細な相互作用を理論的な方法を用いて明らかにすることを目的とした。研究の結果、密度汎関数法に基づく相関分極ポテンシャルを用いた理論を開発し、振動Feshbach共鳴寿命から消滅スペクトルを計算する方法も開発することができた。
理論化学
我々が新しく開発した密度汎関数法に基づく相関分極ポテンシャル理論を生体分子を含む様々な分子に適用した。その結果、実験で得られている陽電子束縛エネルギーをほぼ定量的に再現することができた。特に極性をもたない分子については、分子の分極率やπ電子と相互作用が重要な役割をしていることを見出した。また、開発した陽電子消滅スペクトルを計算する理論も様々な分子に適用し、実験で得られたスペクトルと一致した結果を得ることができた。