今後の研究の推進方策 |
アンモニアに関する基準モード解析ですでに知られているが、今回のようにデカルト座標を用いた解析ではモード間のカップリングが強くなる。このようなカップリングは、基準振動の選び方が適切でないために起こったとされている。このような強い振動モード間カップリングを避けるために、これまでに内部座標に基づいた定義(J. Chem. Phys. 2008, 129, 164107.)や曲線座標に基づく定義(Chem. Phys. Lett. X, 2019, 2, 100010.) が提案されている。そこで、今後は2019年度に開発したプログラムを改良し、内部座標や曲線座標を用いた基準振動解析、ならびにIRC座標に沿った振動モード間カップリングの計算を行う。改良したプログラムを検証するために、アンモニア分子について再度検討を行う。さらに、プログラムの並列化、効率化を進めることで、当初の計画にあったヘキサトリエンからシクロヘキサジエンへの閉環反応にも挑戦する。 2019年度に開発した新規原子電荷計算法については結果まで得られているので、早急に論文にまとめる。さらに、今回の手法開発で提案した原子内で直交化された自然原子軌道(pNAO)による補助基底を、我々がこれまでに開発してきた他の電子密度解析法、例えば各原子に対して定義された分極率決定法などに適用する。2019年度に開発した原子電荷、2020年度以降に開発する原子分極率を用いることで、化学反応におけるエネルギー移動を、電子の移動でも解析できるようにする。
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