本研究では、反応速度とエネルギー散逸の大小関係の理論的な予測を目指し、(1)溶媒が作る環境場、(2)溶媒が作る環境場の中でのエネルギー失活過程を記述するための理論構築を行なった。研究期間全体を通じて、溶液内での高精度エネルギー計算、揺らぎを含めた自由エネルギー曲面の計算を行うための理論開発、ならびにそこから求めることができる振動モードを利用したエネルギー移動を議論するための手法の開発を行った。さらに、ここで得られた手法を利用し、溶液内での項間交差を介したエネルギー失活過程の考察、ヨウ素原子を含む多原子イオンの異性化反応などの応用研究も行った。
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