本研究課題は、光励起、化学反応に伴う溶媒和ダイナミクスを個別分子の運動に基づき分子論的に理解することを目的としている。イオン化に誘起される溶媒分子移動反応について、気相水和クラスターを用いてサイズ依存性、内部エネルギー依存性の観点から研究を行った。 その結果、水分子間の相互作用が溶媒運動に大きな影響を与えることを明らかとした。また、内部エネルギーの変化により、反応経路が複雑に分岐することも見出した。さらに、水素結合が保持されたより安定な構造の方が高エネルギーのイオン化で生成量を増やすといった、単純な熱力学的説明とは逆の結果が生じることも見い出した。
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