研究課題
我々はジケトピロロピロール連結テトラベンゾポルフィリン(DPP-BP)とPCBMとの低分子系バルクヘテロ接合型(BHJ)薄膜試料について、時間分解テラヘルツ分光法により電荷キャリアのダイナミクスに関する研究を行った。テラヘルツ分光測定の結果から、C4-DPP-BP:PCBMとC10-DPP-BP:PCBM BHJ薄膜試料の電荷キャリアの移動度に違いが見られず、電荷キャリアの局所的な移動度が分子配列やモルフォロジーに大きく依存しないことがわかった。一方、時間分解過渡光電流測定の研究から、電荷キャリアの再結合過程はアルキル鎖が長くなるほど、光電流の時間変化の減衰が速くなることがわかっている。これは、アルキル鎖が長いC10-DPP-BPでは結晶のドメインサイズが大きくなり、p/n接合面の表面積が大きくなることで、界面での電荷キャリアの再結合過程が促進されるためであると考えられている。これらの研究結果を総合し、低分子系有機薄膜太陽電池の特徴を活かすことで、電荷キャリアの局所的な移動過程と長距離的な電荷輸送過程の顕著な違いを明らかにすることができた。さらに亜鉛と含んだジケトピロロピロール連結テトラベンゾポルフィリン(C4-DPP-ZnBP)と亜鉛を含まないC4-DPP-BPバルクヘテロ接合型(BHJ)薄膜試料の電荷分離状態の構造やダイナミクスと微視的な結晶構造やモルフォロジーとの関係についての研究を行った。これらの得られた結果については論文や総説として発表している。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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