時間分解テラヘルツ(THz)分光法は光励起により生成した電荷キャリアの移動度を測定できるユニークな手法であるが、いくつかの欠点が存在し、その応用範囲は限られていた。構築した測定系により、GaAsの電荷キャリアの移動度スペクトルを感度良く、短時間で測定することができた。我々は気体を非線形光学媒質としたTHz光の発生、検出にもステージの連続スキャンによる測定を応用した。ポルフィリン系低分子系バルクヘテロ接合型薄膜試料では、電荷キャリアの局所的な移動度が分子配列やモルフォロジーに依らないことを明らかにした。このことは電荷キャリアの移動度が観測する空間スケールに大きく依存することを意味している。
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