自由エネルギー勾配を求める分子シミュレーション手法と反応経路最適化法を組み合わせることで、多剤耐性菌に対する最後の切り札として期待されているカルバペネム系抗生物質の一つメロペネムを分解する、耐性菌が生み出すカルバペネマーゼによる分解反応メカニズムを解明するとともに、酵素を構成するアミノ酸残基の反応自由エネルギー障壁への定量的な影響を明らかにした。細菌が生み出す酵素の組成を改変することはできないが、産生された酵素内の各アミノ酸からの電場等を外場としてとらえることで、それを打ち消すことができる薬剤設計への指針を提唱することに成功した。
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