• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

新規水素発生触媒の開拓と反応機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K05379
研究機関電気通信大学

研究代表者

三輪 寛子  電気通信大学, 燃料電池イノベーション研究センター, 特任准教授 (90570911)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード水素生成反応 / Ni2P / 表面構造
研究実績の概要

2021年度は、Ni2P(10-10)面に形成する1x1構造上では当初期待していたようなPtを大幅に上回る活性を見出すことが容易ではないことがわかった。これは、当初水素の結合エネルギーから高活性と期待していたP終端表面では、表面を終端しているPと水素原子との結合と比べ、同Pと表面第二層のNiとの結合が弱いため、水素生成よりPH3脱離が優先してしまうためだと考えられる。Pが脱離しNiが露出した表面では、水素の吸着エネルギーを指標とするとそれほど高い水素生成能は期待できないことを我々は第一原理計算から既に示している。複雑な表面構造を形成する金属―典型元素化合物では、水素生成反応中に表面構造が変化することもあるため、一般的に用いられているような水素吸着エネルギーを指標としたvolcano plotから単純に触媒活性を予測することはできず、その反応経路も含めて検討する必要があることが示された。本研究のもう一つの目的は、水素生成反応の機構を解明することであるので、既に高い活性が知られているPtナノ粒子の電気化学条件下での表面状態を明らかとするためオペランド条件でのXAFS測定と第一原理計算を行った。Pt単結晶表面上では、その構造と吸着種の状態が広く研究され、既にわかっていることも多いが、実際触媒として用いられるPtナノ粒子の構造やエッジ、コーナーなどの局所構造の活性予測などはほとんど進んでいない。Pt粒子が劣化すると水酸基の吸着量が増え、一方で水素の吸着量が減少することがわかった。これらの相関の理解は、更なる第一原理計算による検討が必要であるが、Pt粒子の構造の制御が水素生成能の向上に必要であると考えられる。今後、Pt粒子の準安定構造を含め、様々な構造について、水素の吸着状態を明らかとしていくことが課題と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、Ni2P表面の活性比較をし、現状最も水素生成活性の高い物質の一つであるPtの活性と比較した。その結果、Ni2P表面でPtと比べても高い活性を示すと予測した(10-10)表面1x1構造上でも、Ptほどの活性は示さないことがわかった。また、その原因を第一原理計算の結果から示すことができたため、当初の目標を通り進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

他の水素生成反応に活性の高い物質について(Ptナノ粒子など)、これまでNi2Pで示したように局所構造がどのように反応活性に寄与しているかを示していきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響で当初計上していた実験旅費、及び、学会参加旅費を使用しなかったが、その分は次年度参加する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Abnormal Metal Bond Distances in PtAu Alloy Nanoparticles: <i>In Situ</i> Back-Illumination XAFS Investigations of the Structure of PtAu Nanoparticles on a Flat HOPG Substrate Prepared by Arc Plasma Deposition2022

    • 著者名/発表者名
      Hu Bing、Bharate Bapurao、Jimenez Juan D.、Lauterbach Jochen、Todoroki Naoto、Wadayama Toshimasa、Higashi Kotaro、Uruga Tomoya、Iwasawa Yasuhiro、Ariga-Miwa Hiroko、Takakusagi Satoru、Asakura Kiyotaka
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry C

      巻: 126 ページ: 1006~1016

    • DOI

      10.1021/acs.jpcc.1c08393

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] In situ HERFD-XANES/RIXS measurements of adsorbed oxygen species on Pt/C electrocatalysts in polymer electrolyte fuel cells under operating conditions2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Ariga-Miwa, Takefumi Yoshida, Tomoya Uruga, Takehiko Sasaki, Takuma Kaneko, Tomohiro Sakata, Kotaro Higashi, Oki Sekizawa, Yasuhiro Iwasawa
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会
  • [学会発表] In-situ simultaneous HERFD-XANES/XRD measurements of the adsorption species on Pt/C electrocatalysts in polymer electrolyte fuel cells under operating conditions2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Ariga-Miwa, Tomoya Uruga, Takehiko Sasaki, Takuma Kaneko, Tomohiro Sakata, Kotaro Higashi, Oki Sekizawa, Yasuhiro Iwasawa
    • 学会等名
      The 2021 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies
    • 国際学会
  • [学会発表] ミュオンスピン回転・緩和法を用いたルチル型 TiO2欠陥構造解析2021

    • 著者名/発表者名
      三輪寛子,下村浩一郎,Amba Datt Pant,鳥養映子,永嶺兼忠,朝倉清高
    • 学会等名
      2021年日本表面真空学会学術講演会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi