液滴は高いQ値を持つ光キャビティとして働く。本研究では,単一液滴および衝突液滴にパルスレーザー光を照射し,液滴内で共振増強するラマン散乱光を観測した。このとき,液滴内ではラマン散乱光を励起光とするラマン散乱(高次誘導ラマン散乱)がおこる。液滴での高次誘導ラマン散乱光の生成,および衝突液滴によるさらなる増強の機構を明らかにするため,高次誘導ラマン散乱の生成時間波形を観測した。その結果,単一液滴では液滴内の光伝播過程で誘導ラマン散乱光が増強していくが,衝突液滴では高次光ほどラマン散乱光発生時間が短くなる傾向があることがわかった。これは,衝突液滴の形状のもつ非常に強い光増強効果に由来している。
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