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2020 年度 実施状況報告書

分光・電気伝導同時実時間観測による有機半導体薄膜光物性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K05399
研究機関新潟大学

研究代表者

三浦 智明  新潟大学, 自然科学系, 助教 (80582204)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード有機薄膜太陽電池 / 時間分解分光 / 光電流
研究実績の概要

軽量、低コスト、低環境負荷といった優れた利点を持つ次世代太陽電池として注目されている「有機薄膜太陽電池」は光を電気エネルギーへ変換する効率が低いことが問題となっている。光で生成した電荷の損失過程を明らかにするために、電荷の数を計測する分光測定と、電流(電荷の流れ)を計測する電流測定を同一の太陽電池素子を用いて行う手法を新たに開発した。
昨年度開発した本同時測定装置に自作の温度可変装置を導入した。冷却ガス流量とヒーターを自動制御し、-140 ℃~+60 ℃の全範囲で±0.05 ℃以内の高精度での温度制御に成功した。
温度可変測定を行うために、本装置に入るような小型(1 cm x 2.5 cm基板)の有機薄膜太陽電池を作成した。成膜条件などを最適化し、従来の太陽電池とおよそ同等の性能を持つ素子の作成に成功した。
これら装置と太陽電池素子を用いて-100 ℃において同時測定を行ったところ、室温と比べて電荷数の減衰速度が遅くなり、電流の値は小さくなった。ここから太陽電池素子において再結合速度と移動度が低温において減少することを定量的に実証することに成功した。
これと並行して、磁場効果測定の高感度化に向けた装置の改良を行った。電磁石の電源を更新して磁場制御を高速化し、これにかける時間(その間光は当てていないため待ち時間に相当する)を一定とするようにソフトウェアを改良した。これと先に述べた高安定の温度可変装置により、従来の櫛型電極素子において1%程度の微弱な磁場効果の磁場依存性を正確に測定することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍で年度の前半に実験ができない時期もあったが、温度可変装置の導入と試験的な測定に成功したので、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

より詳細な温度依存性、電場依存性等を検討するとともに、電場変調測定を行う。さらに低温において太陽電池素子を用いた磁場効果の測定を行う。これらにより、電荷消失機構の定量的解析および、電子正孔対のダイナミクス解明をさらに進める。さらに成膜条件や用いる材料によって電荷キャリアロスがどのように制御できるかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で学会がオンラインになり、旅費が余ったため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Photogenerated Radical Pair between Flavin and a Tryptophan-Containing Transmembrane-Type Peptide in a Large Unilamellar Vesicle2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshimi Oka, Tomoaki Miura, Tadaaki Ikoma
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry B

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1021/acs.jpcb.1c01231

    • 査読あり
  • [学会発表] 分光-電気伝導同時実時間観測による色素ドープ導電性高分子の光伝導機構解明2020

    • 著者名/発表者名
      三浦 智明、山田 瑛葉、 八代 真理子、生駒 忠昭
    • 学会等名
      2020年web光化学討論会
  • [学会発表] 過渡吸収・過渡光電流同時測定による有機薄膜太陽電池におけるキャリア移動度の研究2020

    • 著者名/発表者名
      村松 直哉、三浦 智明、生駒 忠昭
    • 学会等名
      2020年web光化学討論会
  • [学会発表] 磁気光吸収・磁気光電流同時測定法によるP3HT:PC61BM薄膜におけるキャリア対ダイナミクスの観測2020

    • 著者名/発表者名
      小林 奏、三浦 智明、生駒 忠昭
    • 学会等名
      電子スピンサイエンス学会2020

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公開日: 2021-12-27  

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