研究実績の概要 |
ポルフィリンのメソ位アリール基のオルト位に置換基を導入することで生じるポルフィリンのアトロプ異性体は、分子認識や触媒への利用といった点で注目されている。本研究では、4つあるメソ位アリール基のオルト位に、それぞれメシチル基を導入したテトラアリールポルフィリンのアトロプ異性体の混合物を、酸処理してジプロトン化体にすることにより、αβαβ異性体を選択的に合成した。また溶媒との相互作用を利用して、溶液中における加熱により、異性体混合物からαααα異性体を選択的に合成した。さらにポルフィリン同士の分子間相互作用に基づき、固体状態での加熱を行うことで、異性体混合物から選択的にααββ異性体が生成した。このような簡便な操作により、取りうる4種類のアトロプ異性体αααβ, αααα, ααββ, αβαβのうち1種類を、選択的に生成する方法の開発に成功した。また、得られたαααα異性体の置換基により形成された疎水性空間を利用して、ベンゼン等の小分子を吸着できることを明らかにした。
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