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2019 年度 実施状況報告書

次世代発光素子のための固体青色燐光性を有する渡環型白金錯体の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05441
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

小宮 成義  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00301276)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード白金錯体 / りん光 / 電子求引性置換基
研究実績の概要

本研究では、独自に開発した、結晶状態で強くりん光発光する、渡環構造を有するtrans-ビス(サリチルアルジミナト)白金(II)錯体をモチーフに用い、新しい発光色制御法の開発を目的として、以下の検討を行った。本錯体の発光色を制御する方法として、サリチルアルジミナト配位子の様々な部位に電子求引性のアルコキシカルボニル基を有する白金錯体の合成を行った。オルト、メタ、およびパラ位にヒドロキシ基を有する安息香酸メチルエステルを出発物質として、ヒドロキシ基の隣接位の選択的なホルミル化と、それに続くイミン形成反応により、アルコキシカルボニル基の置換位置の異なる4種類のイミノサリチルアルジミンを得た。これらを配位子とし、目的とする3, 4, 5, および6位にエステル基を有するtrans-ビス(サリチルアルジミナト)白金(II)錯体をそれぞれ合成した。錯体の同定と純度の確認は、NMR, IR等の分光学的手法により行った。単結晶を用いたX線構造解析により、立体構造および結晶中での集積構造を明らかにした。本錯体は、常温の結晶状態で、赤色から緑色まで燐光を示した。それぞれの錯体の発光波長は、電子求引性置換基の置換位置によって変化し、無置換体と比べると、電子求引性置換基が4位あるいは5位に有する場合に、最も大きな長波長シフト、あるいは短波長シフトすることが明らかとなった。この傾向は電子供与性置換基の場合と逆になることが明らかとなった。本研究の成果は、trans-ビス(サリチルアルジミナト)白金(II)錯体における同一の電子求引性置換基を用いた置換位置の違いによる新しい発光波長制御法となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

白金錯体のりん光の波長を制御する方法として、電子求引性置換基を用いることで、これまでとは違うアプローチで行うことが可能であることを明らかにできた

今後の研究の推進方策

発光波長の制御のために、フロンティア軌道のエネルギー準位をいかに、効率よく制御できるかについて、計算化学を併用して、最適化を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

研究計画にあわせて順調に予算を使用できている。新規白金錯体の合成のための試薬や器具を購入していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Phosphorescent Molecules that Resist Concentration Quenching in the Solution State: Concentration-Driven Emission Enhancement of Vaulted trans-Bis[2-(iminomethyl)imidazolato]platinum(II) Complexes2019

    • 著者名/発表者名
      Ngoc Ha-Thu Le, Ryo Inoue, Soichiro Kawamorita, Naruyoshi Komiya, Takeshi Naota
    • 雑誌名

      Inorg. Chem.

      巻: 14 ページ: 9076-9084

    • DOI

      10.1021/acs.inorgchem.9b00608

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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