研究課題
基盤研究(C)
本研究では、一般に官能基の反応性の違いに支配されることが多いサイト選択性を、立体選択性とも併せて制御することが可能なキラル分子触媒の開発を目的とした。様々な化学変換を実現するルイス酸・金属触媒部位に対して、分子認識能・サイト選択能を有する有機分子触媒部位を付与することにより、α,β-不飽和ケトンの不斉ホウ素化反応やニトロンとα-ケトエステルの不斉1,3-双極子付加環化反応について、高エナンチオ選択性と官能基選択性を可能にする「立体選択的・サイト選択的分子触媒」を開発した。
有機化学
同一分子内に複数の反応部位を有する複雑化合物に対して、反応性の類似した官能基を識別して化学変換するサイト選択性は、合成化学分野における挑戦的課題の一つでる。いくつかの有機分子触媒やペプチド触媒がサイト選択的反応を達成しているが、アシル化反応などの官能基変換反応への応用が先行しており、多様な結合形成反応への展開は未開拓な状況であった。本研究では様々な結合形成反応において、立体選択性と同時に高度なサイト選択性を達成したが、これらは合成後期段階で望みの反応部位を化学変換する合成経路の開拓につながる。