研究課題/領域番号 |
19K05467
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
武田 紀彦 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (30449871)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アミド / ラクタム / 求核付加反応 / 環縮小反応 / 骨格変換反応 |
研究実績の概要 |
優れた化学安定性を有するアミドは重要な構成単位にも関わらず、積極的な分子変換は未だ容易ではない未開発分野の一つである。アミドのα位に隣接官能基を導入すると、従来のカルボニル基に対する反応だけでなく、隣接官能基の特性に基づいた新たな反応が進行する可能性を秘めている。申請者は連続ヘテロ原子を有するアミドの特性に着目し、求核付加反応をトリガーとする連続反応の開発を目的とした。2019年度は①求核付加-環縮小反応の更なる展開、②骨格変換反応の二つに焦点を当てて、研究に着手した。 ①求核付加-環縮小反応の更なる展開:ラクタム類にジエン部位を導入した付加環化反応への試みは環縮小生成物が不安定であったため、詳細な検討が困難であった。また光学活性なラクタムへの立体選択的環縮小反応も検討したが、基質の反応性あるいは生成物の安定性に問題があり低収率でしか得られなかった。そこで本反応の理解を深めるため、様々な位置に置換基を有するラクタム類を系統的に合成し、基質一般性の確立を目指して置換基効果及び立体選択性について検討する。 一方で、その他の炭素求核剤の検討中に興味深い成果を見出し、同一基質のラクタムからエンイン化合物が得られることを見出した。こちらの成果については、短期間でまとめ、学会発表を行うことができた。 ②求核付加-骨格変換反応:予想以上にうまく進行し、様々なアリール基、ヘテロアリール基の導入が可能であることが明らかになった。現在導入導入可能な求核剤の更なる拡張とラクタムの基質一般性を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの検討から求核付加-環縮小反応を利用した含窒素ヘテロ環化合物の合成手法は確立できたが、挑戦的課題と位置付けた付加環化反応への展開や立体選択的な環縮小反応には成功していない。これに対して、①炭素求核剤の検討の中で、エンイン化合物の合成法を見出したこと、②骨格変換反応については予想以上にうまく進行し、様々なアリール基、ヘテロアリール基の導入が可能であることを明らかにするなど、来年度に繋がる収穫もあった。ここまでの研究成果は学会発表を行えていることを考慮し、おおむね順調に進行していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
①求核付加-環縮小反応が適用可能なラクタム類について、基質一般性を拡大し、置換基効果および立体選択性に関して系統的に調査する。 ②骨格変換反応について、導入可能な求核剤の種類を検討し、官能基化された含窒素ヘテロ環化合物の合成を検討する。また様々な置換ラクタムを合成し、骨格変換反応の基質一般性を拡大する。 ③2020年度に取り組む予定であった「転位反応」について取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は研究を進めるために、物品費を集中的に使用したが、わずかに経費の次年度使用が生じた。本経費は引き続き消耗品の購入に充てる。また真空ポンプが故障したため、急遽購入した。
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